-『箱庭』の記録 その1-
《響奏の世界》イバラシティ。
その街を侵略しようとする侵略者、アンジニティ。
僕は、今回は侵略者側だ。
何故なら『依頼』として受け取ったから。
僕らは8人で1人の・・『箱庭』の住人。
普段は僕、
レティシエル・ベル・ウォールが出ているがね。
到着後、レディにいろいろ説明された僕の頭の中は、今やぐるぐるぐるぐる。
うぅ。僕、こういう難しい話は苦手なんだよぅ・・・。
そもそもさぁ、他にもアンジニティチームがいるなら、僕らじゃなくても良かったじゃないかぁ・・・。
なんて考えていると、声をかけられた。
どこから、なんてのは考えない。
だってその声は、どこからでも聞こえている。
僕の中にいるある精神体の声。
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??? 「しかし・・・今回『も』色々と巻き込まれたみたいだね、エル。」 |
―――エル。
こう呼ぶのは、ほかの精神体の中でもたった一人。
僕の中の最も邪悪で、憎しみを忘れぬ精神体だ。
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レイ 「言わないでくださーい。そしていつから出てきてるんですかー」 |
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??? 「あっはは、ごめんごめん。でもみんな、もう待ちきれないみたいでね」 |
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レイ 「・・・ふぅん?」 |
・・・
みんな。
そう、みんな。『僕』という世界にいる、精神たち。
今回僕が請け負った依頼を、ただ一人では楽しませるわけにはいかないとついてきた精神体たちだ。
何年も昔から僕の中にいて、僕を見守っているのか、僕をこき使っているのかわからない。
今話しかけてきた彼を含め、
7人。
『邪悪』を司る、『愛』と『憎悪』の化身。
『神聖』を司る、『記憶』と『忘却』の化身。
『死神』を司る、『死』と『生』の化身。
『騒音』を司る、『命』と『心』の化身。
『執着』を司る、『精神』と『肉体』の化身。
『嫉妬』を司る、『創造』と『破壊』の化身。
『孤独』を司る、『過去』と『未来』の化身。
・・・確か、こう、だったかな?
いつも名前で呼ぶから、役割なんて忘れちゃったなぁ。
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??? 「いやぁ、それにしても。あんな依頼を請け負うなんて、お前も堕ちたのか?」 |
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レイ 「まさか。僕はただ、依頼が来たから受けただけさ。」 |
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??? 「あんまり無理しないようにね。・・・私たちも、交代は出来るんだから」 |
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レイ 「ありがとう、マリスティア。」 |
彼の名を呼んだ。
けれどこの名は、イバラシティでは名乗ることはないだろう。
何、知り合いはいないんだ。僕らは僕らで戦おうじゃないか。
背後を取りやがった、この<<住人>>とやらを倒してやるよ。