彼の持っているものは少ない。
体には大きなジャッカロープの角と、蹄のある2本の義肢。薄く閉じられた目。マフラーの下、斜めがけの大きな鞄には装備と古びたパスポートだけ。風化してちぎれそうなそれには「不来方見済」の名前と角のない人の顔があるのみで、他はページが抜け落ちている。
力はあるが根気はなくいつもにこにことして、大きな体はあれどあまり細かいことを覚えていられずあっけらかんと大切なものも5秒で諦める。じっとして居られない訳では無いが、少し目を離せばあちらへ山登りをこちらへ海を見にとそこらを歩き回り落ち着きがない。聞けば「たどり着くまでの全部をみたいな」と言うのだ。戦いであんなに検討外れな所へ駆けていく癖に、真偽を知っているような確信した口振りで言うのだ。
彼の目指すところはただ一つ、手を付き確かめたい「折り返し地点」である。
それがどこかは さぁ、誰が知るのやら。
「コズカタ印のコズミックぱわぁー♆……コズミックてなんだろねぇ、ま、いっか」
本名:不来方 見済(こずかたみすみ)
持っているパスポートの写真は彼が幼かったらこうなるだろうな、と思える人物のものである。角もなく、目も開いている。本人に聞くと「別人」と答えるし、名前の漢字は書けない。
身長/体重/外見的特徴:175cm 90キロ
頭にジャッカロープの角・両足がバネ仕込の兎と鹿を足しような義肢
身長にたいして手足が長く見える。見えるだけで確かめると普通の長さ。
赤みの強い黒髪を、ショートの後ろ髪と長い前髪に整え、気分で分け目を変えている。触られても怒らないので、編み込まれたりとよくおもちゃにされていた。
郵便屋か一昔前の軍隊のような動きやすそうな詰襟の制服だが、どこのものかはわからない位色あせ擦り切れている。
一人称:ぼく /二人称:自分 、(名前)さん/三人称:彼さん、彼女さん、あの人さん
侵略が始まる前は地図を描いて暮らしていたが、本人は地図が読めないタイプ。目が開いていないけど、周囲の様子は分かるようで杖や補助がなくても移動や生活に不便な様子は見られない。