通り雨
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ハザマに生きるもの
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アンナ 「ここは……聴こえる。聴こえるよ。人がたくさんいるの……」 |
アンナ 「……あぁ、ここがそうなんだね」 |
両手を広げて、少女は駆け出す。 荒廃した、夢のような世界を。 |
エイキ 「……ア……ンナ?」 |
アンナ 「ねえ、エイキ。やっと……私たちの戦いが、始まるんだよ。 ずっとずっと待ってた気がする……」 |
アンナ 「大丈夫、わたしがいるよ。一緒に、敵を倒そう。わたしたちの敵をさ!」 |
振り向いて、大好きな……大事な『味方』に笑いかけた。 |
ナレハテ 「ア゛ア゛ア゛ア゛ァァ…………」 |
アンナ 「……どうしたの?エイキ」 |
呼びかけに応じず、彼はずっと向こうを見ている。 |
アンナ 「よそ見しないでよ。ねえ、向こうに何……?」 |
彼の向こう。丁度逆光になって、黒く佇む建物たちがある。 よくよく見れば、それらがすべてーー蠢いている。 蠢く生き物のようなそれらは、 |
アンナ 「エイキ、何……、か……」 |
影のように彼の足元に、繋がっていた。 |
それをアンナが確認してすぐ、ぐずぐずと彼の足元が崩れていく。 |
アンナ 「あ、あぁ」 |
崩れていく。 |
アンナ 「あぁぁぁ……!!」 |
彼は背を向けていたわけではなかった。 |
人影の頭部、目があるはずのそこに切れ目が入る。 現れたのは大きなレンズ。街を監視するためのものだ。 蠢く黒い街は形を得て、収まっている内のほんの一端を現す。 |
その街は生きている。その街は街ではない。そこにあるのはーー |
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火 水 風 地 光 闇 |
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ナレハテ 「ア゛ア゛ア゛ア゛ァァ…………」 |
アンナ 「そんな、エイキが、化物……紛れ込んでいるって。紛れ込んでた?そうだったの?それって」 |
アンナ 「あなたが『そう』だったなんて!なんて素敵なの!」 |
既に周囲を侵している黒い街。その中心に立つ装置へ向かって、アンナは歩み寄る。 |
アンナ 「どうして早く教えてくれなかったの?わざわざわたしが誘導するまでもなかったんだね、わたしたちずっと同じ気持ちだったってことだよね」 |
建物のあちこちにある監視装置の赤い光が、ハザマの敵を捉えた。 |
アンナ 「すっごく嬉しいよ、ならこんなろくでもない街の住民なんか早く殺しちゃってさ、学校だって何だって早く早く2人で壊そうね、そしたら」 |
アンナ 「一緒にこれからも生きていけ」 |
アンナ 「あ゛っ」 |
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ナレハテ 「ア゛ア゛ア゛ア゛ァァ…………」 |
地を這う黒い影が、狙いすましたように鋭い何かを生やす。 |
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ナレハテ 「ア゛ア゛ア゛ア゛ァァ…………」 |
地を這う黒い影が、狙いすましたように鋭い何かを生やす。 |
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ナレハテ 「ア゛ア゛ア゛ア゛ァァ…………」 |
地を這う黒い影が、狙いすましたように鋭い何かを生やす。 |
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ナレハテ 「ア゛ア゛ア゛ア゛ァァ…………」 |
地を這う黒い影が、狙いすましたように鋭い何かを生やす。 |
ナレハテ 「ア゛ア゛ア゛ア゛ァァ…………」 |
ナレハテ 「ア゛ア゛ア゛ア゛ァァ…………」 |
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「おはようございます。本日は燃えるゴミの収集日です。ごみは朝8時までに出してください」 |
突き立ったスピーカーからぶつ切りの、合成したような音声が流れた直後、 溶けるようにスピーカーが消える。 周囲の建物も、いくつかが同じように『収納』されたのち、 |
人の形をしたそれは、建物を引き連れるように移動を始めた。 |