やせっぽちの、つややかなキチンの皮で身を包み、これまた光沢のある目をした―――惑星エトマにおける知的種族、エトミアンのさえない男が、何やら機械部品を乗せた台車を押していた。レーザー発振器、である。デブリ処理用、と書かれたラベルが中途半端に塗り潰されている。いずれにせよ決して軽いものではない。まして華奢な彼が一人で運ぶとなると、かなり骨が折れるものだ。遅れればまた怒鳴られるし、どこかぶつけて壊しでもしたらもう何をされるか。自分はなんだって、こんなことをしているんだろう。なんでここにしか居場所がないんだろう――― が、ドゥッ! 衝撃が、男の苦悩を停止させた。 「も、モークさん……?」 レーザー発振器の運び手に蹴りをぶち込んだモークに、同行していたオーゲリアンは震えた。 モークはすぐには応えず、倒した男とその荷物を軽く検分していた。 「……ま、銃座かどっかに行く人だったんでしょうな」 エトミアンの男をかつぎ、彼が来た方へと歩く。途中ちょっとしたゴミ溜めを見つけたので、その中に放り捨てた。 ☆ ○ ☆ ○ ☆ ○ ☆ ○ ☆ そうして辿りついた倉庫には、丁度大小のコンテナ類が運び込まれている所だった。二人は音を立てぬようにキャットウォークを降り、既にできあがった貨物の山に身を隠し、そこから様子を伺う。 ふと、大型のフォークリフトが円筒状のものを運んでくるのが見えた。 「なぁ、あのエンジン……こないだの白鈴工学展で展示されてたやつ……」 オーゲリアンの同行者が隣のモークに耳打ちする。 「PE-87r。まだ売りに出されてませんし、盗んだんでしょうな」 「……は、白鈴(ハクレイ)の船からか?」 「実力でやったってンなら厄介ですね」 そのPE-87rが壁まで運ばれて、固定された。そこに、ガタイの良い犬頭の海賊が右手をついて、 「へっへっへェ、どうよォ! コイツが一体何億になることかッてンだ!! オレッてばきっと、幹部になッちまうなァ……! かぁー、ボスもあやく見にこいよなーァ!」 かっかか、と大笑いする犬男。その脇から、 「さらった女のほうに夢中なんじゃないっスかね。オーゲリアンなんでしょ?」 と、所々サイボーグ化された別な輩が言う。 さらった女……しかも、オーゲリアン。 今、コンテナの山のふもとで大人しく盗み聞きをしていた二人は、そうもいかなくなりつつあった。 「待ちなさい!」 思わず飛びだしそうになる同行者を、モークは抑える。 「まっ、マーサだよ! 俺の妹なんだよ! やっぱお楽しみに使われてンだァ!! 駄目なんだよォ、そういうのはァッ!!」 「わかりますが、ここで出てけばなおさら駄目でしょ!」 「ちきしょう! わーった―――」 「ちょっと! 誰か隠れてるっぽいよ!」 女の声が、倉庫に高く響いた。 同行者を身体で抑えたモークの目には、コウモリの特徴を持った女―――惑星カゥヴの住民だろう―――が、つかつかと自分たちの方に迫ってきているのが見えた。 そうとわかったときにはもう、お互いが目に入ってしまっているわけである。モークは同行者を横に放り出し、女に先制の蹴りを放った。 「なッ!」 コウモリ女は、ブリッジの姿勢で回避をする。その向こうで海賊たちの構えた銃がきらめいた。 「悪漢どもめ―――」 ドッ! モークは自慢の脚力で、天井近くまで飛びあがる。 気の早いものは引き金を引いたらしい。生物を傷つけても、船体にはダメージを与えぬように調整されたレーザー・ガンの赤い光芒が空気を裂いた。 「モーク・トレックが―――」 ジャンプの頂点を敵が狙うのがわかるから、モークはその翼で羽ばたいて、軌道に変化を、自分の身体にはスピンをつけた。 「―――相手だッ!」 コマのように回転しながら、ドウッ! 着地と同時に一人の頭を蹴り飛ばした。 そのまま姿勢を低くして迎撃をかわし、半ば体当たりのようなアッパーをぶちかましてもう一人。振り向きざまに銃口の中の煌めきに気づいたモークはかがみ込み……小さく悲鳴があがるのを聞いた。たまたま背後にいた仲間に当たったらしい。今度はそいつのレーザー・ガンを奪い取って、横っ飛びをしながら目に入った相手を撃っていく。 見えている限りの敵の位置と、奇襲をされうる場所と、何よりも自分の身体の形をモークは把握していた―――大きな体がレーザーを縫うようにかわし、その後には太い腕と鋭い足の爪とが、海賊たちを的確に打ちのめしていくのだった。 一分と少しで、二十人以上はいた海賊どもはみんな揃って冷たい床に寝転がり、最後の一人がモークに胸ぐらをつかまれた。 「あなたたちの親分はどこにいますか。答えなさい」 「ヒィィ……! ぶぶ、ブリッジですゥ! 眺めのいい場所で楽しみたいとか言ってましたァァァ……」 「そうですか」 素早くチョップを叩き込み、意識を飛ばす。 「……す、すっげえな? さすが、だな?」 静かになったのに気づいた同行者が後ろから出てきて言った。 「ハァ……あなた、もうちょっと落ち着いてくださいよ。同じことがもう一回できるとは思いませんから」 モークは、さすがに少し息を切らしていた。 「……ごめんよ。でもホントに……妹は……大事なんだ! 誰にも汚されたくないんだ……あいつと一緒だから、俺、生きてこれたんだ……」 うつむく男の肩に、モークは手をかける。 「では、早く行きましょう。必ず助け出して、僕ら三人で逃げ切るんです……何、こんなおじさんになりかけの僕一人にだって、こうもやられちゃうような連中ですよ。十分スキはあるはずです」 「だけど……いいのかよ、俺たちのために……モークさんほどの人が……」 「人助けもしないで偉ぶる人には、なりたくないんですよ」 「……ありがとう、モークさん」 ☆ ○ ☆ ○ ☆ ○ ☆ ○ ☆ そこからは、最短の距離を通ってブリッジを目指すことができた。ここまでの内部構造から、モークはこの船が既知のものを改造したものであるのに気づいたのだ。 迷うことなく大きなスライドドアをすり抜け、飛び込んだ二人を出迎えたのは赤い毛皮のオーゲリアンであった。 「モーク・トレックか……」 椅子ごと回転し、彼はモークたちと対峙した。 「マーサさんを解放なさい。でなければ……!」 「まーァ、そう焦りなさんな? ほれ、あそこ」 赤いオーゲリアンの男は後ろの窓の向こうを指さす。 ―――船体と接続されているらしい金属のロープが一筋。その先端には透明なカプセル。 中にはピンクの身体のオーゲリアンが拘束され、漆黒の宇宙のなかで、頼りなく揺さぶられていた。 「……まっ、マァサァァァーッ!!」 たまらず、モークの同行者は駆けだす。窓の下のコンソール群へ。彼女を救い出せるボタンを探して。 そこへ、ビシィッ! 赤いビームが素早く伸び、彼の身体を強かに打った。転倒し、ごろごろと転がって、力なく仰向けになる。 「ブワァァァ……カ。どうやンのかもわかんねェくせに」 海賊のリーダーは銃を構えたまま、なじってみせる。 「見てな」 モークたちにはわからない形で何かの信号が送られたらしい。コンソールの画面がひとりでに変化し、ロープがにわかに発光した。 そこへ……パチッ、バチッ! 「キャァアアアアアアッッ!!」 電気がはじける音と、悲痛な叫びがブリッジを駆け抜けた。カプセルの中の女は、激しく身をよじらせている! 「カァッカカカカカァーッハハハハハァー!!」 無遠慮な笑いを上げる赤いオーゲリアン。 モークは、声を発するまでもなく動き出そうとした。しかし、 「動くなよォ! あの女はな、俺が思った通りになるようにしてあンだァ?」 「なんですと……!?」 踏み出した足が、止まってしまう。 「マジだよ。ロープ切れろって思えば切れちまうぜ……ま、つまんねェからもうちょっと遊ぶがな……」 「ッ……!!」 モークは、動けない。 ただ目の前の悪漢の、その目を、にらみつけるばかりであった。 |
Ino | 所持Max15 / 所持数10 | 種類 | 効果 | 効力 | 精度 |
1 | 【主力】オーゲルの皮鎧 | 固有殴打武器 | - | 8 | 8 |
惑星オーゲルで作られた獣の皮の鎧 | |||||
2 | ヒュージバット | 生物 | 遠傷投射Lv2 | - | - |
3 | 散っていった毛根たちの怨念 | 固有謎物 | 殴打吸魔Lv3 | - | - |
#芸術の秋、それは毛狩りの季節 で得たモノ | |||||
4 | 6歩カード | 移動 | 確歩Lv6 | - | - |
ダイス1回目の出目を強制的に6に変更する | |||||
5 | 神社のカード | 設置 | 神社Lv16 | 17 | 10 |
現在地マスに神社を設置する(区分:信仰) | |||||
6 | カモミール | 植物 | 転化Lv1 | - | - |
7 | 2歩カード | 移動 | 確歩Lv2 | - | - |
ダイス1回目の出目を強制的に2に変更する | |||||
9 | 開拓公園のカード | 特有設置 | 散策施設Lv14 | 14 | 5 |
開拓されたエリアに設けられた公園だ(区分:散策) | |||||
10 | 2歩カード | 固有移動 | 確歩Lv2 | - | - |
ダイス1回目の出目を強制的に2に変更する | |||||
12 | 【防具】オーゲルの下半身鎧 | 防具 | 武具Lv1 | 15 | 11 |
下半身を守る鎧だ |
Sno | 所持Max86 / 特有Max4 / 設定Max5 / 所持数22 | 所有 | 種類 | 効果 | LP | FP |
1 | モークの耳 | 特有 | 自動 | 麻痺領域Lv1 | 0 | 10 |
2 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 活気Lv2 | 28 | 0 |
3 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 列活気Lv2 | 56 | 0 |
4 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 治癒活気Lv2 | 28 | 28 |
5 | モークの夢 | 特有 | 解離 | 遠傷殴打Lv1 | 0 | 24 |
6 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 治癒Lv2 | 0 | 28 |
7 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 列治癒Lv2 | 0 | 56 |
8 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 列治癒活気Lv2 | 56 | 56 |
9 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 全活気Lv1 | 42 | 0 |
10 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 治癒活気Lv1 | 14 | 14 |
11 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 列治癒活気Lv1 | 28 | 28 |
12 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 全治癒活気Lv1 | 42 | 42 |
13 | 無名のカード | 専有 | 先発 | 確変Lv1 | 0 | 6 |
14 | 無名のカード | 専有 | 先発 | 列確変Lv1 | 0 | 12 |
15 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 全治癒Lv2 | 0 | 84 |
16 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 治癒Lv1 | 0 | 14 |
17 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 全治癒Lv1 | 0 | 42 |
18 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 列活気Lv1 | 28 | 0 |
19 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 列治癒Lv1 | 0 | 28 |
20 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 全活気Lv2 | 84 | 0 |
21 | 無名のカード | 専有 | 解離 | 全治癒活気Lv2 | 84 | 84 |
22 | モークの技術 | 特有 | 解離 | 深傷天光Lv1 | 0 | 24 |
Marking Chara List |
[Command] Eno23:トビー |
[Command] Eno74:絆の姫君と力の皇息 |
[Command] Eno42:まりあ |
[Command] Eno14:闇 |
[Command] Eno320:シンセミア |
[Command] Eno31:デカパイ少佐 |
[Command] Eno59:トロィスィ |
[Command] Eno90:アルテナ |
[Command] Eno97:NASと宇宙探索ロボ達 |
[Command] Eno100:クラヴィス・クレイドル |
[Command] Eno103:ながれぼしのミリウ |
[Command] Eno142:Gone Past |
Ano | 名称 | 休日 | 区分 | 詳細区分 | 価値 | 期限 |
D-10 | 療術所 | 月輝 | 回復 | 療術所Lv14 | 112 | 6 |
T-8 | 宿屋 | 豊穣 | 回復 | 宿屋Lv12 | 120 | 4 |
E-9 | 聖堂 | 星期 | 信仰 | 聖堂Lv12 | 140 | 8 |
A-8 | 兵器屋 | 安息 | 兵器 | 兵器屋Lv11 | 55 | 2 |
機械を使う人向けのお店らしいが |
区分 | 設立数 | 運営日数 | 利用計 | 本日の収入計 | 区分 | 設立数 | 運営日数 | 利用計 | 本日の収入計 |
魔器 | 1 | 5 | 0 | 0 | 防具 | 1 | 5 | 1 | 8 |
衣服 | 2 | 11 | 4 | 40 | 兵器 | 1 | 3 | 0 | 0 |
祭器 | 1 | 9 | 0 | 0 | 回復 | 3 | 10 | 1 | 12 |
産業 | 1 | 1 | 1 | 12 | 信仰 | 1 | 2 | 1 | 12 |
Mission List |
#追加注文基礎講座受講 ☆ Clear ☆ |
#遥かなる地へ かつての開拓よりも、さらなる先を見てみないか? 目的地:V-Lv30 |
#保持するモノ ハチミツを入れる壺は回復・休息・遊戯・鑑賞・散策・産業・信仰施設いづれかを利用して借りる。 ※ミッションを受給した地点"以外"の該当施設(受給地点:E-Lv9) 目的地:B-Lv12 |
Mission#A List |
AdditionalOrder List |
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14 | × | × | × | × | × | × | × | × | × | × | × | × | × | × | × | × | × | × | × | × | × | × | 14 |
13 | × | × | × | × | × | × | × | 13 | |||||||||||||||
12 | × | ★ | × | 12 | |||||||||||||||||||
11 | 11 | ||||||||||||||||||||||
10 | ☆ | 10 | |||||||||||||||||||||
9 | ☆ | 9 | |||||||||||||||||||||
8 | ☆ | ☆ | 8 | ||||||||||||||||||||
7 | 7 | ||||||||||||||||||||||
6 | 6 | ||||||||||||||||||||||
5 | 5 | ||||||||||||||||||||||
4 | 4 | ||||||||||||||||||||||
3 | 3 | ||||||||||||||||||||||
2 | 2 | ||||||||||||||||||||||
1 | 1 | ||||||||||||||||||||||
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