「へへ、まいどありぃ！」
魔界の入り口で、いつものようにグミとスライムは通行人へたかっていた。
と、そこへ魔界側から集団がやってくる。 冒険者だ。 冒険者たちがプラインガルドへと帰還していく。

「えっ、魔王様が負けた！？ もう！？」
先行していた勇者たちが、ついに魔王城を攻略したらしい。
戦の終わり。 その知らせを聞いてか、プラインガルドにいた魔族の兵も魔界へ戻りだした。
グミとしてはせっかく覚えた業人の技を、もう少し披露したかったところなのだが。
「こうなっちゃうと機会が無いし、武器も売れないし、潮時ってやつね。……はっ！ 値下がる前に戦利品を売らなきゃ！」

──数日後。
魔界の一端、陰気な小屋の中でグミは何やら企てていた。 スライムたちは、いつも通りボケーっとしている。
乱世は過ぎ去り、無法な商売で荒稼ぎしていたグミも、まじめに働く時がきたのだ。
「これからの時代、実用性や強さで売っていくのはもう古いわ。 まずはエンターテイメント……スライムバンドでひと稼ぎよ！」