二日くらい歩いたかな。
応礁から緋斜の丘を越えて、金庄に着きました。

北はこの国の首都の府評。東は強者の荒野。西は山地が南北に連なっているそうです。
強者の荒野というからには、敵も強くて一人の私には無理かもしれない。
でも、なんとなく魔の気配があるような気がします。
もしかしたら魔人族がいるかも……
私以外で、初めて会う魔人族。
気になるから、少しだけ行ってみましょうか。

北東の方角には警魔の平原という場所もあるそうです。
お金がほしくなったら、そこも散策してみること。

このあいだ会った平泡盛という人、一体何だったんでしょう。
武器を作りたいのはまだしも、私にくれてしまうなんて。
そういう変わった人とだけ覚えておけばいいかな。

考えなければいけないことは他にもあります。
一つは、これからどうやって生き延びていくか。
私には仲間がいないから、敵を倒すのも傷を治すのも私ひとり。
どっちにより重きを置いていくか。
なんとなく、攻撃するほうが性に合う気はするんですけど。

魔王がどうとか、普通に人の里で育った私には今でもピンとこないままです。
そもそも魔族という種族がどう暮らしているのかも知らないですし。
この国は今のところ、まだ平和に見えていますが……
そのうち、嫌でも分かるんでしょうか。