「私の勝ち！ なんで負けたのか、考えておくことね。」
プラインガルド城。 魔界へと続く門前でグミたちは勝ち誇っていた。
バードに覚えさせた光魔法が押し寄せる援軍に、ぶっ刺さったのである。 幾度も虐げられただけあって、勝った喜びもひとしおだ。

「勝ったのはいいんだけど……なんだか妙に魔法を外していた気がするのよね。 んん？」
次の戦闘にそなえ、戦利品の武器を素振りするスライムたち。
その様子を観察していて、グミはあることに気づく。
「あんたたち、もしかして……片手で武器を持っているわね！」
いまだにスライムの手がどこにあるのかグミはわかっていなかったが、武器の方向が偏っていることを見逃さなかった。
片手で持つより両手で持ったほうが魔法の精度はあがるのだ。
「どうりで戦闘が長引くわけだわ。 武器は両手で持つのがマナーよ！ ほら、こんなかんじで……そうそう。」
グミが強奪した剣を両手に持つと、スライムたちも戦利品の武器から選んで両手(？)にかかげる。
この世界では、新しい装備でないと両手に持つのは難しいらしい。

「とにかく、これでようやく魔界へ入れるようになったわ。 結構な額を盗られちゃったし……赤字の分も、勇者たちから巻きあげるわよ！」