「うわーん！」
プラインガルド城。 魔界へと続く門前でグミたちは同族に厄介払いされていた。
今は戦争中なのだ。 同族といえど許可なく通すわけにはいかない。 まして変なスライムを売りつけてくるとあれば当然の結末である。
野良の魔獣たち相手にはイキっていたグミたちも、しょせん一般魔族とスライム。 訓練された兵士には手も足も出ない。

「か、数が多すぎる……バードは光魔法を覚えさせてないから火力が低いし、ローグの薙ぎ払い攻撃はかわされて役に立たないし……」
戦いの後は反省会だ。 ただ今回ばかりは解決策が見つからない。
なにせ相手は、かの四天王──魔界将軍ナイトレトネなのだ。 この下剋上が果たされればスライムの地位・待遇も変わるかもしれないが。
「防御面にも問題があるわ。 このリフレクションとかいう魔法を反射する魔法、ふつうに隙間から抜けて当たってくるのよ。……だいたい、なんであんたは後ろにいるわけ？」
青い布をかぶって後ろからついてくるグミの使い魔……もといストーカーデビルを指す。
そうだそうだ、と言わんばかりにスライムたちが悪魔の背に寄りかかった。 陰気な城内をズルズルと押されていく。
あきらかに嫌そうだが反撃はしないらしい。
「どう考えたって、あんたが一番つよいんだから！ ほら、先に行って！」