「まったく、もう今時のスライムは……」
港町。
なにか動物の骨をまとったスライムが、ぴょんぴょん跳ねながらボロ服の少女──グミについていく。
見ればボロ服の、ところどころに焦げ目ができていた。
「普通、育ての親が戦ってたら割って間に入るものじゃない？ ちゃっかり経験値だけはもらってるし。」

当初、グミは、そのへんの旅人に追い剥ぎ(PK)を仕掛けようとしていた。
が、町中だし、足が止まるし、なんかベテランが多かったので適当な理由で手合わせしてもらって、様子見する事にしたのだ。
手合わせで良かった。 少なくとも模擬戦で勝てるようになるまで、追い剥ぎは控えた方が良いだろう。
そうして結局、食べられるものが無いかゴミを漁っているうちに、野獣がきて襲われたのだ。

「先制攻撃してやろうと突撃したら、ぜんぜん届かなかったのよね……おまけに、なぜか左手に手袋をしてないしで散々だったわ。」
恨めしそうに骨のスライムを見るが、まったく気にされない。
「はぁ、知らない人に運び屋のバイトまで押し付けられて……まあ、お金になるなら良いけどね。 邪魔になったら換金すれば良いし。」
せわしない行商人に渡された小包。
追い剥ぎ自粛中の彼女には、いい資金源だ。
そういう訳で一行は宿場町ハイメを目指し、北へ向かった──。