「勝手に先導して、はぐれる剣士ってどう思う？ 私は無理！」
スライムに愚痴をこぼしながら、一行は焚火を囲んで女子会していた。
ちなみにスライムの性別は分かっていない。 しかし、いつもより、どことなく所作がおしとやかであった。
「なんで剣士って偉そうで独りよがりなやつが多いのかしら。 たいして技の威力ないくせに。」
フンフンッとグミがシャドーボクシングで拳を振るうたび、炎がゆらめく。

「まあ今の所、大陸情勢も安定して魔界一色らしいし寛大な気持ちで許してやるか。」
グミが魔族でありながら、リバーシ国で商売をする理由がここにある。
紛争で手がいっぱいであれば、人界で詐欺まがいな取引をしていても対応が後手になると踏んでいるのだ。
もっとも、これといって儲けた記憶はないのだが。
「明日は自称勇者が生きていたら合流して……ところで、さっきから商人が見当たらないんだけど、付いてきてないなんてことないわよね。」