「誰かー！ 暇な勇者いませんかー！ ……ぐぬぬ、首都の周りがこんなに閑散としてるとは予想外ね。」
トリステラ平原の東方、首都の入り口でグミたちは手合わせの相手を探していた。

「これ以上、探し回ると野獣に見つかるリスクも高いし……せっかく連携攻撃ができてきたのになあ。」
強敵たちとの闘いの中で、スライムたちは自然に各々の役割を理解しだしていた。
まず魔法を扱えるスライム・バードが、開戦と同時に風の魔法で自身を媒体とした毒や菌を敵全体にまき散らす。
そこへグミが、無数のスライムたちを同時に相手取ることで会得した奥義・常世の果てで追撃する。
あとは敵の中で弱っている順に、道具を扱うスライム・ローグとバードが遠距離攻撃でしとめる寸法だ。
斧使いアックスは今のところ何もしない……なんかやたら大きく斧を振りかぶっては避けられてるので、器用さを鍛えた方がいいかもしれない。

「我ながら完璧な布陣よね。 ……はっ、この連携力をアピールすればセットで高く売れるのでは！」
善は急げだ。
新たな商法を思いついた一行は首都、テネルメントへと足を踏み入れた──！