──開拓村ジノイセ

　人々が賑わう村にたどり着いたイブキは、盛んな町の光景に目を輝かせながら見回している。

イブキ「ここが開拓村なんだね。それで、ボクの応援の人は……」
？？「……ここに居ますよ」
イブキ「おわっ！　おや、君が応援の人？」

　咄嗟に距離をとって後ろに振り向くと、黒いタートルネックとズボン、そして白衣を身に纏った黒髪の女性が立っていた。しかもその後ろを見ると長身の男性と一回り小さいフードを被った女の子の姿があった。

イブキ「そのお二方も応援の人？」
？？「はい、申し遅れましたね。私の名前はミキと言います。そして後ろに居る二人は……」
？？？「ローギウス。オレがどういう人物でどのような技術を有するかは、お前なら後々分かるだろう」
？？？？「フォリエと言います。いまさっき、アタシの事ちっさいと思ったね？　貴方も小さいのに」
イブキ「ちっさいって何なのさ！　もしかしてボクの心読めるの！？」
フォリエ「読めません。でも、ローギウスと比べた際、約８割がアタシの事を小さく思ってしまうそうです」
イブキ「とんでもない統計だね……」
フォリエ「後、今さっき貴方を占いました。……といっても、絶賛冒険中のイブキさんには話しても仕方ない事だけど」

　……と、フォリエが両手に持つ水晶がピカッと光っている。何か見えた証拠なのだろう。

イブキ「ということは、ボクに関する深い話とか？」
フォリエ「……そうなります。でもこの占いの結果……見せるつもりありません」

　そう言ってヒョイッと水晶を懐の中に入れてしまった。これにはイブキも驚いて思わず見ようと突撃するぐらいだ。

イブキ「ええええええ！！！　見せてよ〜」
フォリエ「嫌です。見せる事は出来ません」

　突撃したイブキに対して、軽々といなすように避けるフォリエ。何度も近づいても避けられ、ついには足が止まる。そして近くに居たローギウスが……

ローギウス「……諦めろ。こういう物は仲良くなって彼女の心を開いた時に聞くものだ」
イブキ「うぅ……仕方ないね……。ローギウスさんはフォリエさんとコンビなの？」
ローギウス「まぁな、訳あって組んだ仲だ。オレの時も、オレの運命の結果を見せてくれるのにどれ位時間かかったのやら……」
フォリエ「でも現状『協力』するだけで、仲良くなる気は何一つ有りません」
イブキ「そ、そんなー……」

ミキ「そう言っても、余程嫌悪の感情を持っていない限りは仲良くなれるチャンスは有るものです。例えば、この二人が抱えている問題解決に協力したりとか」
イブキ「あぁ、その手が有ったか！」
ローギウス「問題なぁ……この世界にイリスが居るかどうか……なのだ」
イブキ「イリス……さん？」
ローギウス「オレの……妹だ。あぁ、詳しい事は旅の途中でも教えるよ」
イブキ「はい、お願いします！」

ミキ「さて、これで全部ですかね。あ、私の事に関してはまた別の機会にお伝えします。ではこれからこの町で準備を行い、次の移動に備えましょうか」
イブキ「はい！　そして旅を同行してくれる人たちと一緒に、レッツゴー！」

　……しかし、なぜか沈黙。

イブキ「どうしてよー！！」
ミキ「まぁ、性格上仕方ないですよ」