探索
#75PT と出会った。
そしてそのまま去った。
歩いていると、向こうの木の陰から誰かが出てきた。
その緑のローブと紋章の入った杖は、キシェタトル兵のものだ。
兵士は行路に出て辺りを見回すと、こちらに向かってきた。
「ふえぇ、助けてくださぁい…」
話によると、この兵士は単身魔族討伐を命じられたらしい。
だが、魔族と対峙する勇気がなく、ずっと隠れていたのだそうだ。
しかしいつまでも隠れるわけにもいかないため、旅人を頼ることにしたという。
返事をする前から、泣きわめいてしがみついてくる。
その音を聞きつけたのか、不意に目の前に魔族が現れた。
魔界の物と思われる赤黒いローブを身にまとっている。
一見すると端正な顔立ちで、程々に高い背丈とあいまって格好よく見える。
「フフフ、ここで会ったが運の尽き。
魔王様に仇なす者は生きては返さないと思え。」
「で、で出たぁー!
ど、どうしたらいいんですかぁ!」
兵士は飛び退き、あわてふためいている。
戦おうという意思は全く感じられない。
「よーし、まずはそのうるさい奴!
…ん?
そのローブはまさか兵士!?
バカな、そんな情報は聞いてない!」
敵も急にうろたえ始めた。
だが、落ち着くのは敵の方が早かった。
「だ、だが一人のようだな!
よし、それなら何とかなるかもしれない!
お前ら、そこの旅人は任せた!」
魔族が兵士に襲いかかった。
こちらにも野獣が近づいている。
まずはこれを追い払わないと、加勢に行く余裕はなさそうだ。