#20 PT

探索

ハメルの近くは騒がしくなっていた。
行路の外れから次々と兵士が運ばれていく。
この奥が戦場となっているようだ。

すでに戦闘は終わりに近付いていた。
木々がまばらな上に残った木も倒れて、戦況がよく見える。
兵士と対峙している集団はすでに大半が離脱したらしく、ほとんどいない。
だが、兵士の数はさらに少ない。

「くっ、援軍はまだか！」

隊長と見られる、立派な服を着た兵士が叫んでいる。

「やっとここまで追い詰めたんだ！
　あの行路で相次ぐ魔族や旅人の襲撃事件の首謀者を！
　ウォルニエトの暴走獣大量発生事件の黒幕を！
　ここで逃がすわけにはいかない！」

そう叫ぶ軍側は、しかしもういつ包囲を破られてもおかしくない。
敵のリーダーらしき男が、余裕の表情を浮かべている。

「見よ、我らの道義的絶対的正義はかの逆賊国家にも屈することはない！
　現在の難局を打破し、我らの正統的当然的聖戦を確固たる物にするのだ！
　皆、このマリシアス・ストライフに続け！」

そう叫んで敵のリーダーが走り出した。
まっすぐこちらに向かってくる。