4回の記録
猫は宇宙の栄光をかく語りき。その名は天球に遍く響く。(詩歌集5:45)
──かくして、ウチュー☆ネコと名もなき男は邂逅した。百合鏡、完。つまりハッピーエンド(俺たちの戦いはこれからだ)。ネコたちの戦いはこれからなのであった。平泡盛は木から霊感を得->弓を出力した。アロー演算子である。削られたての弓は木の香り高く、どこか発光マタタビの匂いと似ていた。発光マタタビは宇宙猫の惑星で蔓延していたリーガル・ドラッグであり、向精神・能力向上・幻覚・幻聴・彼女ができるなどの作用がある安全なバフである。宇宙猫達はみな発光マタタビが好きだったが、地底犬たちに滅ぼされた今現存する発光マタタビはウチュー☆ネコのリュックの隅に置いてある分だけである。先日ウチュー☆ネコが間違えてサラダにしようとしたのは別の話である。発光マタタビサラダはどこか懐かしい青色発光をしていた。非課税である。それはそれとしてネコはクシャミをひとつして弓と矢の礼とした。深淵のアイツが丁寧なお礼状を書いているあいだに泡盛は走り去って行った。深淵のアイツは気の利く良い奴なのでどこかの深淵を辿ってどうにか礼状を泡盛に届けることだろう。見た目に似合わず字も綺麗だ。通信教育でペン字を学んでいた経験が生きている。ウチュー☆ネコは弓を嗜まず、扱ったとて宇宙猫を射出する用途にしか使えないため、弓は名もなき男が使うこととなった。つまり適材☆適所(ニモツモチ)である。名もなき男は紫煙をくゆらせた。ウチュー☆ネコも対抗して虹色の煙を耳から吹き出した。熱い風下キープ譲り合いPvP(同一PT内)が発生するところだったが、二人のあいだにいた深淵のアイツが風上になることで解決した。風のついでにアイツの深淵から黒歴史こと黒い羽根(羽毛布団から出てきたものを墨で塗ったもの)が多少舞った。深淵のアイツは少し赤面したが、紫煙と虹色煙が濃く、人に見られることは無かった。この日記の読者のみが知り得ることである(メタ)。宇宙猫も気を利かせて深淵を覆い隠した。眷属の味方をするものには優しいのである。それが例え生存本能によるものだとしても。眷属の味方をするもの以外にはその虹色の煙は強い毒性を持つ。例えば先日現れたゴブリンなどは鼻から虹色の煙を吸ってしまい、苦毒と麻痺と病気を受けた。つまりインフル☆エンザ(流行性感冒)。ゴブリンは土の下の家に帰り出てくることは無かった。地底犬の手のものにお似合いな末路である。深淵のアイツは静かに十字を切り、冥福を祈った。雰囲気で。
6/15 深淵より
今度こそ無事に合流することが出来てよかった。Mysticへの借りが増えたな。
今回の戦闘もネコは特攻ばかりしていて肝を冷やしたが、平泡盛の薬草のおかげで致命傷に至ることは無かった。なぜ同行してきたのか全くわからなかったが、ありがたかったのは確かだ。後でお礼の手紙でも書いておこう……。
泡盛が歩いていった方向を眺めると、町が見えた。ひとまずそこで休むこととしよう。