「な、なんか平泡盛がついてくることになったんだけど！？」
「ま、よくあることさねー。アーシも似たようなもんだし」
「いや、けど、泡盛って……平泡盛って……」
　自分でもよくわからないくらい衝撃を受けている。何故かは知らない。
「まあ、戦うときだけ力を貸せばいいんだよぉ。そんなに肩肘張らなくていいんだってー」
「……うん、そう考えるとミョルよりはマシに思えてくるな」
「なんだとぉー？」
「レオリ様ッ！」
「え……？」
　ミョルをからかって癒されようとした矢先に声をかけられる。
「ヴェ……ヴェイ、か？」
「え、レオリー、あの人誰〜？」
「……オレん家の執事」
　気の抜ける声で尋ねられた問いに答え終わったときには、彼は目前まで近づいていた。
「いいえ、正しくはレオリ様専属の執事『ヴェヴェベイ・ヴェイドノア』です」
「執事って……こんな格好だっけ〜？」
　彼女が疑問を抱くのも無理はない。
　執事と名乗る彼がロボットスーツのような外骨格を纏っているのだから。
「なんかぁ、凄い格好だしー、野性味溢れてるしー」
「レディ、人には人の事情があるのですよ」
「あぁー、はいはい、なるほどねぇ〜」
「けど、ヴェイ……どうして此処に？　お前に任せたダウラはどうしてる？」
　あの家で唯一信頼を置ける歳上である彼に、妹を託した。
　しかし、現在オレの前に立っているということは……妹に何かあったのか？
「ダウラ様も間もなく此方へと参りますよ。なにやら、御一人になりたいようで」
「は？　あの子も……？　おい、あの家で何かあったのか？」
　彼女の身の安全がわかりホッとしたが、それはそれで状況が把握できない。
「……俺とダウラ様であの男を殺害しました。レオリ様、レオリレーゼ家の長として御戻りいただけませんか？」