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「おはようございます、いい朝だね！」


「僕はスカーペッタ、ポワロランドの案内人さ！」


「へえ、行き先が同じなんだ、じゃあ乗ってよ！100remでどこでも連れてくよ！」


「今日は土曜日だからワンパンジャーショーが14:00から、ライオンの餌やりが12:00からあるんだ！それでね……」


「おっかしいなあ、道に迷っちゃった！」


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　名短艇スカーペッタはかつての廃遊園地、『平須ポワロランド』の高度AIを持った来場者案内ホバーボートとして活動していたマシンである。遊園地が廃園となったあと業者の怠慢により長らく放置され続けていたが、ある日雷が自らを起動、廃園となった遊園地を見てすべてを悟ったのちまた長い時間を沈黙で過ごしていたが、そんなとき同型機や壊れた遊具の数々を修理することに時間を費やそうとした。

　だが問題に直面する。パーツを取り替えるにもパーツがなく、それを揃えるための持ち合わせもなかった、早い話お金がなかったのである―――　電気だけは地下の炉心が生きていたために不自由しなかったものの時間の問題、錆びゆく彼らの目にふたたび灯りをともすためには自らが資金を工面しなければならなかったのだ。

　スカーペッタはかつて、世界には財宝があるとアトラクションの説明で知っていた。
　だからそんな財宝を自分も見つけられればきっと、この廃遊園地がまた動き出すんだと想ったのだ。彼は故郷を飛び出し、しかし道中で出会う人々や怪異の凶暴性に晒されながらときに自らを修理し、強化し、またときに人から金を巻き上げながら外の世界を旅することにした。

　自らを"名短艇"と名乗り、与えられていたAIの識別コードを名前にして。

　かつての栄華をヒューズの裏に思い起こしながら、彼は世界を走り回る。
　故郷がいつかその姿を取り戻すことを切に願いながら。