夜の闇に浮かぶ月と星々のあもとで、また夢を見る。
機械の竜、ドラグーン。相棒の『ライトニング』と一体となって、果てなき天蓋に黄色い翼を広げる。
オレにとってはよくある、懐かしい夢だ。
でもそこは、故郷の世界とは違う場所。晴れた青とは違う、濃い霧に覆われた空間だ。
周囲の敵機も友軍も、その大半は竜の形とは違う、個性豊かな面々。
決して飛び心地の良いところではなかったが、オレの“外の世界”への興味や関心は、確かにあの戦場から得たものだ。
戦闘はとても過酷だったし、いい思い出ばかりじゃねぇけど……。あの霧の戦場に迷い込んでいなかったら、少なくともオレは今ここには確実にいない。

目を覚ます。……少し頭が痛い。
気がつけばオレの手は何かに操られたかのように動き、新たな術式（魔導機が魔法を使うためのプログラムのようなものだ）を書きだしていた。
あの戦場に満たされていたような、霧を生み出す魔法のコードを。