（ダリアの花が象られた便箋、二枚目。几帳面な字。）

　――他にも様々な出会いがありました。
　癒しと補助の力に長けた準人の彼女。
　共に前衛を守った棒使いの少女。
　強力な光魔法の使い手。

　まるで料理人のように魔法を操る魔族のひと。
　人の目と機械の目を持つ、心優しい友達。
　自他に誠実で、凜とした斧使いの女性。
　戦術の達人で、限りある命の中で「最強」を目指す準人。

「俺、この登場人物で一本書けそうな気がする。キャラが濃い」
「シャリエさんが書いても売れないから、騎士様に失礼じゃないですか？」
「ひ、ひどい……もう俺のハートがボッコボコだよ……」

　――良い旅でした。高い山にも登りましたし、ハロウィンも忘れられないし、プラインカルドにも行きました。信じられないくらい大勢の人々と力を合わせて、強大な敵を討ったことだって。
　きっとこの旅は、僕の一生の糧になるのだと思います。

　こうして旅をすることができたのも、ひとえに師匠の教えのお陰です。貴方からは、旅の仕方も、剣の使い方も、他にも色々なことを教わりましたから。
　ありがとうございます、シャリエ師匠。

　今、僕は騎士になりました。旅を終えてから両親とも話し合って、ちゃんと家族に認められて、です。
　今度、また直接挨拶に伺わせてください。その時を楽しみにしています。

　――アルノー・カルパンティエ

「……シャリエさん、この騎士様の何だったんですか？」
「だっから師匠だよ師匠。……まあこいつの家の家庭教師やってたんだけど、ひょんなことから剣も教えてほしいって言われてさ。うっかり受けたら呼び方が先生から師匠にジョブチェンジってわけ」
「ああ、そういう……カルパンティエって、まさかあれですか？　鉄鋼業の……」
「それそれ。成金だの何だの揶揄されてっけど、まあ名家だよなァ」
「……シャリエさんって意外にすごいですよね。小説家なんてやめて、紀行文と家庭教師で食べていけばいいでしょうに」
「はっはっは、俺は夢を追い求めちまうタイプなんでね」
「はいはい。あ、お手紙見せていただいてありがとうございました。明日はデュオスリー方面でしたっけ、気をつけてくださいね」
「今度はゴブリンにヒールが飛ばないようにはするさ」