（ダリアの花が象られた便箋。几帳面な字。）

　――クロード・シャリエ様

　師匠、お元気ですか。僕は元気にしています。
　ハイメに行く時は、『ストレリチア』という宿に泊まっていると教えてくれたのを覚えていますか？
　師匠のことですからきっと覚えていないのでしょうけど、ハイメに立ち寄る機会があったので、こうして手紙を書きました。

「ボッコボコに書かれてるじゃないですか」
「俺細かいこと気にしないタイプだもん……言われたら何か、そんなこと話した気もするなァ」
「というか、師匠なんですか？　あの礼儀正しくて、しかもお顔立ちの整った騎士様がシャリエさんの弟子……」
「君こそボッコボコに言ってない？」

　――17歳の時に、騎士になるために僕は家を出ました。

「嘘ぉ！？　あいつそんなことしてたの！？」
「あの騎士様思ったより行動的ですね！？」
「これ絶対俺のせいだわ……」
「シャリエさんちょっと……ろくでもないですね……」
「ひどい」

　――魔王を倒して武勲を立てれば、両親も騎士になることを認めてくれると思ったのです。今思うと、子どもの考えなのですが……。
　けれど、旅をする中で、僕は幸運にも素晴らしい仲間や友人と出会うことができました。それこそ、ここに書き切れないくらい色んなことがありました。
　ポストと旅していたなんて、師匠、信じてくれますか？

「ポスト」
「……ポスト……？」
「今度会ったら詳しく聞いてみるか」



*第7回に続く*