突然の嵐だと思った。帆を縛り、風の抵抗を少しでも抑えるために、甲板にある道具などは全部船内に仕舞った。そのはずなのに。
俺が、俺達が遭遇したのは、ただの大嵐じゃなく大規模な魔力災害だった。それに気がついたのは、巻き込まれて船の部品が次々と剥がれていく最中だった。
さすがにもう遅い。その後俺は海に投げ出されることもなく、魔力の奔流へと投げ出された。

身が捻れ、千切れそうな痛みを味わうこと数日。見知らぬ大地に俺は放り出されていた。

魔界がどうとか人助けがどうとか。どうやら俺は気楽な冒険者かと思われているらしい。
冗談じゃない。せっかく念願の騎士団になれた…まだ見習いだったけど。さておきなれたというのに、最初の遠征からこれかよ！まったくやってられるか。

どうにかして帰る手段を見つけなければいけない。それまではとりあえず旅人として立ち振る舞うおくべきだろうが。

ーまぁ新しい世界に飛ばされても、我が国から授けられた名前は、名乗り続けていくことにする。
レグル＝ヴァーミリオ。それが今の俺の名前なのだから。