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『召喚士』からのひとこと(第30回)
太陽の器
戦場アナ
「
私が『望んだ』って、どういうことでしょうか
」
召喚士
「
気にしない事ね。アイツの言うことはデタラメよ
」
戦場アナ
「
でも、王族に追い出された一族って……私、そんなこと知らないです。いたって普通の、芸人の娘ですよ!
」
召喚士
「
……そうね。アナタは王族とは縁のない、売れない芸人の、一人娘だったわ
」
戦場アナ
「
それにサチ司書が亡くなってるってどういうことですか? 私全然聞いてないですよ!
」
召喚士
「
それは
」
巫女ユミ?
「相変らず騒々しい娘であるな」
戦場アナ
「
あれ、ユミ……さん?
」
巫女ユミ?
「そうである」
戦場アナ
「
……じゃないです、サチ司書じゃないですか、やっぱり死んでなかったんですね!
」
巫女ユミ?
「いや、たしかに死んだのであるが」
戦場アナ
「
だってここにいるじゃないですか
」
巫女ユミ?
「今の小生は、巫女ユミの身体を間借りしているだけである。非力であるが、なかなか細工し甲斐があったな……クックッ」
巫女ユミ?
「それはともかく、なかなか大変なようだな召喚士」
召喚士
「
……ええ
」
巫女ユミ?
「貴様の属性ではヤツを倒すことはできん。そろそろ『太陽の器』の制作に入らないとだめであろう」
戦場アナ
「
『太陽の器』?
」
巫女ユミ?
「常闇を切り裂くための武器のことである。ヤツの属性は魔法のカタマリ、魔法世界の住人である我々には打つ手がないのだ。それを超越する現神魔法も……今のヤツの属性相手では、破壊することはできん」
巫女ユミ?
「しかし『太陽の器』はヤツの『常闇』属性を相殺できる。本来、魔法世界の住人には装備できないものだが……『英雄』達ならば扱えるかもしれん。そうすれば、ヤツに致命傷を与える事も可能であろう」
巫女ユミ?
「ま、『英雄』が完全であるか、『英雄器』があるなら、そんなもの不要なのであるがな……」
召喚士
「
どちらも『彼女』を倒さないと、こちらの勢力に取り入れられないわ。干渉を無くそうとすると、元の世界に戻ってしまうし
」
巫女ユミ?
「召喚の元を立つとは、なかなか厄介なことをしてくれたものである」
召喚士
「
いらない知恵をつけたものよ
」
巫女ユミ?
「ふむ。まあ……こちらの魔宝は三つ、素材としては十分であろう」
戦場アナ
「
三つ? 『彼女』は二つって……
」
巫女ユミ?
「そりゃ、扱える者が、である。たしかに小生は死んでいるから扱えないが、それなりに手は打っているのであるよ」
召喚士
「
……魔法書架を使うつもり?
」
巫女ユミ?
「うむ。現在は力が分断されていて依代が創れんが、何人に小生の力を分けている。それから辿れば、力を与えていない者にも『藍』の力を拡張することもできるであろう」
巫女ユミ?
「それをしかしまあ、ちょっと小生の魂が面倒なことになっていてな、どうにか引きずり出してくれないと手伝えん」
戦場アナ
「
やっぱり死んでないじゃないですか。しぶといですね
」
巫女ユミ?
「常闇が世界を覆っている限り、我々は死ねぬのだ」
戦場アナ
「
……常闇を晴らせば、サチ司書は?
」
巫女ユミ?
「今度こそ昇天である」
召喚士
「
心配しなくていいわ。その前に、皆の魂を戻すことができれば、なんとかなるはずよ
」
巫女ユミ?
「……うむ。小生の魂は『硝子細工の森』付近に開いた死の国に捕らわれている。それをなんとかしてくれれば助力も可能であろう」
召喚士
「
なるほどね。先にそちらをなんとかしてから、魔宝を探しに行きましょう
」
……
……
召喚士
「
でも、それは後ね。私もちょっと、疲れたわ
」
戦場アナ
「
大丈夫ですか?
」
召喚士
「
少し、魔力を使いすぎたみたい。完全解放の負荷も、ちょっとね……
」
巫女ユミ?
「……召喚の媒体である貴様が力を解くと、召喚した者全ての魂が霧散してしまうぞ?」
召喚士
「
ええ……だから、召喚した彼らにも休んで貰おうと思うの
」
巫女ユミ?
「因果を戻すというのか。いいのか、奴らを元の世界に戻すと言うことは、今までの修練が全て水泡に帰すのだぞ?」
召喚士
「
依代に『イメージ』を刻んで貰うの
」
巫女ユミ?
「ふむ?」
召喚士
「
彼らの求めていた、最強の『イメージ』を依代の欠片にするわ。それはほんのきっかけにしかならないけれど、それにコンファインした他の誰かに力を与えてくれると思うの
」
召喚士
「
それにもしかしら、再び彼らを召喚できるかもしないわ。その時の目印になるでしょう
」
巫女ユミ?
「成程な。ではもし、帰還を拒まれたら?」
召喚士
「
その時は、再び戦う日が来るまで一緒にお茶でもしておくわ
」
巫女ユミ?
「……怠ってしまいそうだな。仕方ない、どちらにせよ、奴らの『イメージ』を貰う必要はあるようだな。それは小生が預かってやろう。そういうのは得意分野だ」
召喚士
「
ええ。よろしくたのむわね……アナはどうするの?
」
戦場アナ
「
そうですね。これまでの日記が貯まってますので、それをまとめようかと。もし新たな英雄さんがきたとき、参考になるはずですから
」
戦場アナ
「
あ、お茶は私も頂きますね!
」
取引メイ
「
かしこまりました
」
戦場アナ
「
……できれば、メイさん以外で
」
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