ホーム
>
リザルト
>
『召喚士』からのひとこと(目次)
> 第1回
『召喚士』からのひとこと(第29回)
橙の魔宝
戦場アナ
「
橙の魔宝を入手ですね!
」
召喚士
「
ええ
」
商人トレハ
「『橙を仰ぐ扇』、祭祀殿で祀っている魔宝ですわ。代々の歌姫が使っていたといわれております」
巫女ユミ
「
キレイですねっ
」
戦場アナ
「
あれ。そういえばトレハさん、最初『杖』って言ってませんでしたっけ?
」
商人トレハ
「え、ええ……魔宝は形を持っていないのですわ。所有者が代わるごとに、形が変化するので……所有者の最も適した装備になるそうですわ」
商人トレハ
「私が確認した時には『杖』の形状だったのですが」
巫女ユミ
「
トレハさんも見間違いするんですねっ
」
戦場アナ
「
あのジャンターって人、歌姫って感じじゃなかったですよね
」
商人トレハ
「そうですわね。おそらく魔宝は彼女を主に決めたのでしょう」
歌姫カナデ
「ギクッ」
召喚士
「
私も異存はないわ
」
商人トレハ
「よかったわねカナデ。どうやら橙の魔石の管理者として選ばれたみたいよ。伊達に歌姫って言われてないわね」
歌姫カナデ
「や、あの……遠慮します……私にはそんな恐れおおい……」
商人トレハ
「却下」
歌姫カナデ
「しくしく……」
巫女ユミ
「
なんだか乗り気じゃなかったようですねっ。こんなにキレイなのにー
」
戦場アナ
「
ユミさんはお気に入りですよね
」
召喚士
「
そうね。橙は曰くがある魔宝だから
」
商人トレハ
「あら、ご存じなのですか?」
召喚士
「
ええ
」
戦場アナ
「
曰く?
」
召喚士
「
『扇』の持ち主は優れた歌姫として名を残している者が多いの
」
召喚士
「
その中でも最大の歌姫に『歌聖』というのがいてね。彼女は星図魔法を現代の形に体系化させた人物でもあるんだけれど
」
戦場アナ
「
へー
」
召喚士
「
自分の喉を引き裂いて自殺したという伝説を残しているわ
」
巫女ユミ
「
う
」
商人トレハ
「お詳しいですね」
召喚士
「
まあね
」
商人トレハ
「祭祀殿は過去、禁断クラスの魔法を何度も発動しておりまして、魔力を集める能力が非常に高いのです。『歌聖』もその力に発狂したといわれておりますわ」
商人トレハ
「だから代々の歌姫や司祭は、よく気が狂っているのですわ」
戦場アナ
「
い、いやな効果ですね……
」
商人トレハ
「精神操作の魔法が発達しているのは、その治療の裏返しでもあります」
歌姫カナデ
「じ、辞退させてください……」
召喚士
「
アナタが一番似合っているわよ
」
巫女ユミ
「
……そういえば、トレハさんもたしか『こど……
」
商人トレハ
「その呼び名はやめてください」
巫女ユミ
「
し、司祭と呼ばれていたんですよね。魔宝を扱ったことはあるのですか?
」
商人トレハ
「ありますよ。わたくしの時は別の形でしたけど。別に気は触れませんでしたし」
戦場アナ
「
へー。別の形っていうと、杖ですか?
」
商人トレハ
「……」
歌姫カナデ
「あっ、アナぁっ、その話題に触れちゃ駄目!」
戦場アナ
「
へ?
」
商人トレハ
「……『刀』ですわ」
戦場アナ
「
かっ刀!?
」
巫女ユミ
「
トレハさん……魔法上手いのに……
」
商人トレハ
「ええ。おかしいですわね、わたくし、生まれてからずっと、神官として修行して参りましたのに……」
商人トレハ
「それがきっかけで外に出るようになったのですけれど……おかげで上……だなんて呼ばれて……」
商人トレハ
「……なんだかちょっともやもやしてきましたわ。カナデ……ちょっと外にきなさい……」
歌姫カナデ
「しくしく……」
戦場アナ
「
カナデちゃ〜〜〜ん!
」
巫女ユミ
「
……
」
巫女ユミ
「
(緑の魔宝が武器じゃないのは、やっぱり私が未熟だからなのでしょうか)
」
召喚士
「
……
」
戦場アナ
「
そ、そういえば。魔宝は手に入れたんですよね。ここはもう用済みなんじゃ
」
召喚士
「
そうはいかないみたいよ。あの子も言っていたでしょ。『首を長くして待っている』って
」
戦場アナ
「
はあ。召喚士さんを知っている人でも居るんですかね?
」
召喚士
「
ええ……『ちょっとした知り合い』よ
」
ホーム
>
リザルト
>
『召喚士』からのひとこと(目次)
> 第1回