『召喚士』からのひとこと(特別編)

「むしゃむしゃ」

「スティール！」

「盗まれた!?」

「ヒットアンドアウェイ！」

「逃げた!?」

「何やっとるんじゃオヌシ」

「新技の開発ですわ(もぐもぐ)。探索キャラとして、ヒットアンドアウェイの研究を行っていたのですが、これにはまだまだ改善の可能性があると思うのです(もぐもぐ)」

「ほほう。どういうことじゃ(もぐもぐ)」

「ヒットアンドアウェイはこのように。一度攻撃した後に離脱し、距離を離すことで攻撃から避ける行動です。しかしこれを他の職は行うことはできません。攻撃したらそれきりですわ」

「そうじゃな。探索系のスピードによって、逃げる時間を作っているわけじゃ」

「ということは、その余った行動時間を攻撃に回せば、追加攻撃が出来るんじゃないかと思い至ったわけですわ」

「さらに応用すれば、移動を先に行うことで、後列を優先的に攻撃できるんじゃないかとか、カウンターを回避するのも可能と考えられます」

「なるほど。なかなか合理的じゃな」

「というわけで、研鑽の日々を送っているわけですわ」

「ちょっとトレハさん！　なにヒトのお菓子盗んでるんですか!!」

「スティール!!」

「また盗まれた!?」

「バックスタッブ!!」

「ふぎゃ――――っ!!?」

「と、このように追加攻撃で沈めてしまうことで追っ手を振り切るわけです」

「自分の攻撃で隙を作り、なおかつその隙を突いて攻撃するという高速戦闘術……とりあえずバックスタッブと名前を付けてみました。攻撃力は見ての通りですわ」

「なかなか面白いのう。じゃが、欠点があるぞ」

「と申しますと？」

「相手が複数だと逃げられんじゃろ、それ。敵の真ん中で棒立ちになったら、袋叩きにされるぞ。おまけに近づいて攪乱しないと隙ができないから、後列じゃ使えんじゃろ」

「なるほど……その辺りが今後の課題ですわね。なんかこう、敵の目の前にいても隠れるような技があれば実用化できそうなのですが……」

「そんな技があれば、そもそもヒットアンドアウェイなんか必要ないのう……」

「うーん。でも、なんだか勿体ないですわね。せっかく作った技なので、皆さんに公開することにしますわ。設定は『タクティクスフォーム』で行えます」

「『バックスタッブ』は『ヒットアンドアウェイ』と併用することで効果があります。一定確率でその場で離脱する行動の代わりに、強力な単体攻撃を追撃しますわ」

「範囲攻撃や近接攻撃以外では発動しないのでご注意くださいませ」

「ふむ……」

「ねえあなた達、アナを見なかった？　おやつの買い出しを頼んでいたのだけれど」

「あら、頼んでいたお菓子の空き袋が落ちているわね」

「戦場アナさんが食べておりましたわ」