No-187 幼女と天使とミドルな旦那の珍道中

「この天使を見る限り、無事であろう事は確かだろうな
　心配など見せぬほどの晴々とした表情
　少々、奮撃してみたくもなるものだがな　…ﾌﾌ」

「ああ、生きてさえいれば
　おのずと何処かで道は開けるものだな
　いや、そうあるべきだと信じたい
　…というのが正しいのか」

「『毒』ともなり『支え』ともなる…
　時間の流れと言うものは
　人にさまざまな色を、思考を与えるらしい
　ディーナ殿はそうやって生きてきたというのだろうか？
　経験染みた話ゆえ、ヌシがそうやって
　生きてきたかのように感じてしまう」

「何にせよ姉君の事を、そうも強く思考に焼き付け
　日々を過ごすというのは微笑ましくもあり
　妬ましくも感じるものだがな…
　難しいものだが　歳を置いても分からなぬ事は
　多岐にわたる」

「ほれ、そこの天使も少しは……」

「こんな事した事もなかったんだが…
　この歳になって自分の弱さを思い知ることになる」

「ヌシを　今だけでいい
　こう、遠い所にいるせいで娘には届かぬ思いだが
　娘の代わりといっては失礼か？
　その…その頭を撫でてもいいだろうか」