辰巳
「(しばらくそうしていたが、暫くしてから頭を上げて若草色の袴の裾を正して正座しなおし、少しばかり吊りあがった黒い眼を向けながら言葉の解説に移る)
荒御魂っていうのは……うーんと、細かく説明すると長くなるんですけど。 まあ、僕の生まれた界隈での神道の用語でして。 望まぬ形での死を遂げた御魂が祟りを起こすわけですけど、それを鎮めるために神様として祀ったものを言うのです。 で……悪魔さんですか?うちにはいないんですよね、そういう人は……だから僕は神様も悪魔も、同じなんですよねえ。無論、異教とかって概念もありますけど、だからなに?って感じですし。 ……いずれ、こんなに馴れ馴れしくしていい相手じゃあないんでしょうけれど。」 |