『召喚士』からのひとこと(第4回)

クラスの違いについて(後編)
戦場アナ
「前回のお題は『クラスの違いについて』だったわけですが」
召喚士
「そうだったわね」
戦場アナ
「前回は2種類について触れられなかったので、そちらの解説をしましょう」
召喚士
「そうね」
召喚士
「どちらもアイテムを獲得する能力が高いわ。このゲームでは基本的にスケジュールの『トレジャー』でしかアイテムを獲得できないのだけれど、これに関して、他クラスよりも有利なのよ」
召喚士
「探索系はレアアイテムという稀少なアイテムの獲得が得意で、輸送系は持てるアイテムの最大数と保護が得意なのよね。それと、一度に獲得できるアイテムの数が、他のクラスより遙かに高いわ」
召喚士
「あと、探索系と輸送系はトレジャーをするとトレーニングと同じだけのEXPがもらえるわね。トレーニングはしないことね」
召喚士
「それと、アイテムに関しては『撤退設定』も重要になるわね」
戦場アナ
「そういえば、このゲーム逃げられるんですよね」
召喚士
「戦闘不能になると2種類のペナルティがあるわ、自分が倒れた際の『大けがペナルティ』。これは前回も話したけれど、スケジュールで訓練ができなくなって、LVアップが遅くなるわね」
召喚士
「また、パーティー全員が戦闘不能になったときのると『全滅ペナルティ』。これは装備しているアイテム以外を全て奪われるという、重いペナルティよ」
戦場アナ
「アイテムを扱う上じゃ、後者が厳しいですね」
召喚士
「ちなみに輸送系は『全滅ペナルティ』をなくすアビリティを持っているわ。もちろん、アビリティは使っていないと駄目よ」
戦場アナ
「おっ、それは有利ですねっ！」
召喚士
「その代わり、探索系はレアアイテムを獲得できるアビリティがあるから、どっちもどっちね」
召喚士
「探索系は全滅ペナルティがあるから、その前に逃げないといけないわね。輸送系にしたって、大けがペナルティは受けるから、キリがいいところで逃げるべきね」
召喚士
「まあ、逃げると魔石はあげられないけど」
戦場アナ
「ええっ!?」
召喚士
「そりゃそうよ。ヒトが必死に戦っているってのに、こそこそ逃げるような奴ってなんかムカつくもの」
戦場アナ
「(魔石の分配って、召喚士さんがやってるんだッ……)」
戦場アナ
「む、むむ……。じゃ、逃げるのに失敗して倒されちゃったり、逃げてる最中に戦闘が終わっちゃった場合は……？」
召喚士
「同じよ。戦闘中に逃げることを選択した時点ですべてカット。その分は生き残った他の人たちにあげるわ」
戦場アナ
「なかなか厳しいですね」
戦場アナ
「なんだか微妙に納得できないものもありますが、なるほどですね」
召喚士
「損して得をとれってことよね」
召喚士
「ま、倒してから出て行く分には何も言わないし」
戦場アナ
「そんな逃げたり逃げなかったりとか、器用な設定できるんですか？」
召喚士
「シンガリになってくれれば、戦闘中に逃げることはなくなるわ」
召喚士
「成長に関係するから、まったく逃げないってのも考え物だけれどね。でもまぁ誰かが残らないとボスは倒せないから、最後まで戦い抜くのって嫌いじゃないわね。上手く撃退したらご褒美上げたい気分になるかも」
召喚士
「どちらを選ぶかは任せるわ」
戦場アナ
「でもアイテムを扱う人たちにはよく逃げてもらいたいものですね」
召喚士
「そうね。変に勇者気取って居残る奴は死んでいいわ」
戦場アナ
「いや、あの、そこまで言わなくても……」
召喚士
「適材適所ってとこよ」
召喚士
「この世界にはとにかく人がいないからね。物流とか、肝心なものが死にまくっているのよ」
召喚士
「彼らにはトレジャーで宝をがんばって掘り出してもらいたいモノね」
取引メイ
「その通りです」
戦場アナ
「うわぁッ、なんですかいきなり！」
取引メイ
「私の名前は取引メイ。文字通り物流をサポートするNPCです」
取引メイ
「このゲームの世界では、『アイテム屋』というものが存在しません。といいますか、貨幣という概念からして存在しません」
取引メイ
「世界のほとんどの住人が生きていないことと、世界を凶悪な魔獣が跋扈しているせいで、一般人が出歩けないからです」
取引メイ
「そのせいで『物流』はプレイヤーの皆さん自身の手で行うしかありません」
取引メイ
「もっとも、すべてはまかなえませんから、最低限はわたしがカバーさせていただきます」
召喚士
「そうね。アイテムの数が決まっているあたりが象徴的かしら。でもまあ、普通にやったら、アイテムが足りないってことはないでしょ」
取引メイ
「はい。正常にアイテムの供給が為されていれば、ありえないと思われます」
召喚士
「その分、2系統が頑張らなければ大変ってことね」
戦場アナ
「私の出番が……」