辰巳
「古来より、神は酒を好むものです。神饌になれば必ず御神酒をお供えしますし、その際には神職の者は一同揃って酒を啜るものなのですよ。
(いまいち場違いな――一見すれば少年にしか見えない――男がふらふらと現れる。しかし、その男は酒について一講釈たれたのち、背中に背負った籠からこれでもかと言わんばかりの御神酒徳利を取り出した。よく見ると背負い主の顔も薄っすらと赤く、近くに寄ればわずかに酒臭い)
酒ならある。酒しかない……大いに結構です。 さあ飲みましょう、意識を失うほど呑みましょう。さあ。さあ。さあさあさあ!」 |