黒い男
「 ラヴィーナの言葉にゼーネイオスは首をひねった。 「魔が法たる術がない?」 少し考えながら彼は何かを思案した顔つきになるが思い出せなかったようだ。ダイナから受け取った紅茶を手にしながら、不思議そうにラヴィーナを見る。 「銃……いいや、彼らは機械と呼んでいたか……ともかく、魔が法もアレも大した違いはなかったように記憶している。そうだな、魔が法というのは火をつける仕組みみたいなものだ。石を打ち付ければ火はつくがどうして火がつくのかという原理こそが魔が法だったはずだ」 一つ息を吸って彼は吐き出す。 「別に火は石を打ち付けなくてもつく。雷が落ちるとか水の入ったガラス器を窓辺に置くとかだ。もっともその原理がなぜかは大半はしらんだろう? その原理こそが魔が法で解き明かして実際に行うのが私の用いる術に他ならない。別にものめずらしいものでもないだろう」 と肩をすくめた。」 |