戦場アナ 「諸君、私は帰ってきたぞッ!」 |
召喚士 「いきなり飛ばしているわね」 |
戦場アナ 「いやもう、『召喚の御座』は窮屈でして」 |
戦場アナ 「やっぱり住み慣れた実家……もとい故郷みたいなモンの空気はいいわけです」 |
戦場アナ 「シャバの空気は美味いってわけですよ」 |
戦場アナは大きく息を吸い込みました |
戦場アナ 「げふッ、げほッ」 |
召喚士 「観光地じゃないんだから……。もうカレイディアなのよ?」 |
戦場アナ 「うう、ヒドい空気。忘れていました。この世界は、あんまり自然チックでエコロジーな所じゃなかったんですよね。誰かさんのせいで」 |
召喚士 「そうね。最初のマップは『血塗れ闘技場』よ」 |
戦場アナ 「赤の魔宝を目指すわけですね」 |
戦場アナ 「ってあれ、魔宝は此処にあるんですか? 『彼女』は手元に持っているんじゃ……」 |
召喚士 「魔宝の支配権を握っていたら場所は関係ないの。それに、どうやらエサでしょうからね」 |
戦場アナ 「なるほど。召喚士さんをおびきよせる」 |
戦場アナ 「……それにしてもひどい空気ですね」 |
召喚士 「元々は粗野だけど活気のある町だったんだけど。変質した今は、住人のほとんどが血に染まっているわね」 |
戦場アナ 「染まっているっていうと」 |
召喚士 「突如現れた魔獣に住人が食い殺されて、その血で町が真っ赤に」 |
戦場アナ 「キャァァァァッ!?」 |
戦場アナ 「すみません、私、グロ耐性あんまりなくて……」 |
召喚士 「冗談よ。そこまでひどくないわ」 |
戦場アナ 「そこまでじゃなくても、ヒドいんですね」 |
召喚士 「ええ。この腐臭とも空気の原因は、突如この町に蘇った、闘士たちの死体のものよ」 |
召喚士 「闘技場というだけにこの町は闘技が栄えていたの。剣闘といった、殺し合いを見せ物にする娯楽が存在していたわ」 |
召喚士 「純粋に戦いが好きだった人もいたかもしれないけど、大半は奴隷かそれに似た待遇で無理矢理戦わされていたみたい」 |
戦場アナ 「今は廃止されていますよね」 |
召喚士 「だいぶ前にね。今は、死ぬまでは戦わない、昔よりは穏やかなものよ。でも、それがあったのは確かで、この町の地下にはそこで死んだ彼らの、名もない墓……いや、死体廃棄場があるわ」 |
戦場アナ 「墓を作ってもらえなかったんですね」 |
召喚士 「殆どはね。彼らのすべてを否定したくないけど、栄光や充実の中で死ねたのは多くないと思っているわ。大半は無念と恨みの中死んでいったでしょうね」 |
戦場アナ 「彼らがよみがえってきたというわけですか?」 |
召喚士 「外見上はそうね」 |
召喚士 「蘇った剣闘士は死体だから前ほどの機敏さはないけれど」 |
戦場アナ 「この町は闘技する人たちがいますよね。のろのろする死体ならなんとかできるんじゃないですか?」 |
召喚士 「なにやら生命力があるようでね、切ってもすぐに直ってしまうみたいなのよ」 |
戦場アナ 「あう、不死身ですか!?」 |
召喚士 「かなり近いわね」 |
召喚士 「剣闘士達も苦戦しているみたい。まあ鈍重なせいで民間人の被害は最小限みたいだけど」 |
戦場アナ 「い、いきなりきっつい敵がでてきましたね……どうするんですか!?」 |
召喚士 「シンプルな話ね。粉微塵に砕くのみよ」 |