No.224 光の差さぬ底INDEX >>
[設立者] ENo.224 フィラデルフィア・シャントリエリ

王城の一室。
略奪され、明かりは失われている。
戦いの喧騒は遠いところにあり、こちらへ寄るものも今はない。

ロール用の専用コミュニティです。
恐れ入りますが、関係者以外の参加はご遠慮ください。



参加者からのメッセージ

ヤール(1496) の応答 >>
 暗闇は静まり返っていた。
 少なくともしばらくの間、そのように感じられただろう。
 沈黙は長く、錆びついて、とうに消えたはずのあなたの声がこだまするかのよう。

 静けさは無音の響きを持ってあなたの耳朶を打つ。


 そこは深く無明であった。




 どれほど経ったころだろうか。

 ふいに、鋭く何かの軋むような音が、虚空に生まれた。

 それはあなたからひどく遠いところに現れたのかも知れず、それとも、ごく間近、あなたの肌を掠めるほどの空点に鳴ったものかも知れない。
 あなたには、きっとその音に覚えがあるだろう。
 不可視の刃が追い縋る。

 ガチン、と 何か巨きな歯の鋭く噛み合うような音。

……やあ。

 近く遠く、どこともはかり難いいずれかの場所から声がした。

 もしかすると、あなたはその声に、何がしか奇妙なものを感じたかも知れない。
 ほんのわずかの変調を。


 彼の声は微細に割れ、どこか血の滴るような響きがあった。

フィリー。
呼んでくれるとは、嬉しいね。
……待たせて、しまっただろうかな。

 そうして声は、小さく、取り零すように呟いた。

 ――いまだ小さな、けれどたしかに私の窓のひとつ――。

 その言葉はあなたに届いても、もしくは見過ごされてても構わない。



参加キャラクター : 2名