［基本］OK.　［戦闘］OK.　［スキル］OK.　

――ハザマ時間、34:15。






静寂。
謎の声のアナウンスから、場を支配していたのは静寂。

やっと口を開いたのは、白衣の男。































































――――そして、二人は去った。

強引なやり方だが、恐らくこれであいつらがアンジニティ行きになる事は免れた筈だ。
これで――「俺達の世界」に送られるデータが途絶して、混乱が起きる事は避けられる。




…………思えば、ひどい戦いだった。

突然巻き込まれて、バケモノ共と戦わされ、それが終わればやれ戦争だ侵略だ防衛だ……
結局、奴等【アンジニティ】の勝利で戦争と言う名の乱痴気騒ぎは終わり、此処に呼ばれた街の連中は、必死の抵抗も敵わず恐らく全員地獄行き。
代わりにその地獄で暮らしてた連中は、あの街でのうのうと暮らす訳だ。
あの街に元から居た奴等の築いたものを、丸々乗っ取って。




其処まで考えて、口から漏れたのは笑い声だった。

そりゃそうだ。

こんな馬鹿げた事を笑わずに、何を笑えば良い。

あの街に暮らしてた連中は、結局地獄で暮らしてた奴等に敵わずに問答無用でその地獄に叩き落とされる訳だ。
そして、その地獄で暮らしてた連中は落ちていく連中を見下ろして――あるいは見ぬフリして、ぬくぬくと暮らしていく訳だ。




何だこれは？
世界の爪弾き者達が、其処から解放されて栄光を掴むサクセスストーリーか？
平穏に暮らしてた連中が、右も左も分からぬままに戦いに放り込まれ、無様に負けて地獄に墜ちる悲劇か？



違う。

違う、違う。



これは、「喜劇」だ。


俺達や、アンジニティの連中や、イバラシティの連中が必死で奪い、守る為に戦っていたのを、
酒のツマミか何かの代わりに、面白おかしく天上【観客席】から見下ろしてた奴等が笑ってただけだ。


変わらない。
何も変わっちゃいない。

ただ、「立場」が逆転しただけだ。


「イバラシティ」に暮らしていた連中は、新しい「アンジニティ」に、
「アンジニティ」へと弾かれていた連中は、新しい「イバラシティ」の住民に。

ただ、立場が入れ替わっただけだ。
それだけだ。


上から眺めてた連中の気まぐれで同じ事が起これば、
白と黒とが入れ替わっただけで、また同じ奪い合いが始まるだけだ。







手に爪が食い込む感触がする。
奥歯がぎり、と音を立てる。


ふざけるな。
ふざけるな。


こんな茶番の為に、俺達は悪夢のような35時間を過ごして来たのか。

暁人 「なあおい、見てるんだろ。そこのオマエ。 楽しかったか？　必死に足掻いて、それでも足りずに地獄に墜ちてく連中を眺めるのは。 面白かったか？　否定された爪弾き者連中が、全てを奪って喜ぶのを眺めるのは。 ――なあ、感想の一つも言えよ。こっちは反吐吐いて必死だったんだぞ。」

――――くだらない。

防衛だの侵略だの、すべてがくだらない言葉遊びだ。
見ろ、その結果、簡単に立場が入れ替わる。

先日までの平和は地獄の住人が奪い取って、
その平和を持っていた奴は地獄を押し付けられた。

そして、もしまた同じ事が起きればまた奪い合いの押し付け合い。
コロコロと立場の入れ替わる、ふざけきった三流芝居。








――――イバラシティも、アンジニティも。
絶対の立場じゃない。
曖昧なものや曖昧な連中ばかりだ。

現に、どっちの陣営からも裏切り者が出ている。



この戦争【喜劇】は、何もかもが不確かで、曖昧なものばかりだった。
案内役と称したあの連中共さえ、例外じゃない。

ならば、もう一度同じ戦争【喜劇】が起こった時に、そのギャラリー共が二度と笑えないように、
この、反吐が出るような世界のルール【ワールドスワップ】など意味をなくすように、









――――「不確かなモノ」全てを消し去ってやる。

目の前にぶら下げられたエサに喰いつくだけの連中も、
ただ焦燥感だけで戦うしかない連中も、
大層な御題目掲げて簡単に立場を変える連中も、

この、反吐が出るような、立場も何もかも簡単に入れ替える世界のルールを作った奴も――――












燃やせ。燃やせ。燃やし尽くせ。

憤怒を燃え上がらせろ。憎悪を汲み上げろ。

搔き集めたなけなしの影響力を燃料にしろ。

その全てでDスケイルを――否、「俺自身」を進化させろ。














俺は、全てと決別する。

アンジニティも、イバラシティも、関係ない。

仲間も、知人も、友人も――――必要ない。

響奏も、否定も、「観覧者」も、この戦争【喜劇】に加担した連中全てが――



































ハザマ時間3X:XX

大規模人型災厄、誕生す。


識別名称：Merciless-HatRed

特に何もしませんでした。