［基本］OK.　［戦闘］OK.　

──そう遠くない、未来の話。




















夢から覚める。



「………？」



頭を傾けると重力に従い肩の上を滑り落ちた長い黒髪が揺れた。
この姿は"アゲハ"でも"黒羽怜慈"でも無い。
……強いて言うなら、自身が一番幸せだった頃の姿に似ている。




























隣に目を向ければ呆然とした様子の女の姿がそこにはあって、
彼女の姿は紛れもなくあの頃の姿のままだった。
此処に娘も居たなら今までの出来事は全て悪い夢だったと思い込む事も出来たかもしれない。


(……いいや、それは無理だな)


幾人もの人を死に追いやった両手が生々しい感触を覚えている。
此処ではない遠い街で、そしてこの街でも。


どのみち自分たちの娘が生きていたのは遠い昔の事だったし、
この街で娘だと思っていた子供は赤の他人だった。
あの子がこの街本来の住人であった事が、居なくなってしまった今ならハッキリと分かる。


──あの子は向こうの世界では到底生きてはいけないだろう、と思う。














(隣の女も居なくなっていれば良かったのに)














(こんな形で再会するはずじゃなかったのに)














今にも泣き出しそうな顔。震える声を妙に凪いだ気持ちで聞いている。














死にたがりを殺すと決めたキッカケ。
キッカケになった、殺せなかった、死にたがり。














(今なら、)
















(今なら、この手で、)

ENo.678 ヤト とのやりとり

特に何もしませんでした。