負けてしまった、勝てなかった、アンジニティに。
cross+roseから響いたアナウンスは無情にもイバラシティの負けを告げて、
ワールドスタップまでの日数を教えるとふっつりと途切れた。
終わった、そう、終わったんだ。全部。

……ちゃんと、戦えなかった。
戦えば戦うほど決心がぐらついて、
それでもなんとか気持ちを奮い立たせようとして、上手くいかなくて。
護ることにしか使ったことの無かった異能を必死に振り回した。

……うまく、戦えなかった。
きっと僕が力を出し切っても、勝てやしなかっただろうけど。
胸の中でぐるぐると後悔が渦巻いている。
もっと、ヒーローみたいに恰好良く戦って、
負けても潔く笑って終われたら良かったのに。
心の中はぐずぐずと春先の雨のように煮え切らない空模様で。
一緒に戦った人たちの顔が脳裏を過る。
イバラシティの人たちも、母さんと父さんも。





ハザマの荒れ果てた大地を2人で歩く。
目指す先はタニモリ区。

2人の大事な場所。
始まりの場所。
（……と、僕が勝手に思っている。）



正直、その場所がハザマにあるなんて思ってなかった
ただ、イバラシティにあるあそこと同じ場所へ
最期に行けたなら、何となくこの戦争を
納得して終われるんじゃないかって、そう思ったんだ。

「桜だ……。」



雀部と僕の大事な場所、始まりの場所。

救われた気持ちになるのは間違っているんだろうか。
ちゃんと戦えなかった自分が、イバラシティの人たちを
護れなかった自分が、望むものを手に入れるのは。

護れなかった、みんなが帰る場所。
どうしても諦めきれなくて、手を離す事なんて出来なくて。
最後の最後に掴み取った自分の帰る場所。
どうか、この世界だけは護らせてほしい。
何処でもない、大切な人の隣。

▲	るなる 「おきつね河万里るなるは変幻自在なんですよ〜！ 　えへへ…」

	るなる 「なにはともあれ、お二人の関係が戻ったようで 　本当に良かったです。 　あの時の我孫子先輩、すごく辛そうだったから…。 　この言葉って、今こそ使うべきですよねえ！ 　我孫子先輩、『末長くお幸せに』って！」

	るなる 「そうなんです、丁度取り込み中だったんです。 　だから、自分のいく末がその質問で左右されたら 　どうなっちゃうんだろうって心配になって…。 　でも、やっぱり…最後はイバラシティも 　アンジニティも関係なしに、 　自分のいたい場所にいれるのが一番ですよね……」

	るなる 「だから、私は我孫子先輩にこう言うのが一番かなって。 　…我孫子先輩、『またね！』って！」

	以降、ENo.16とハザマでのやりとりが必要な場合は以下プレイスをご利用ください。 　　　　　　　　http://lisge.com/ib/talk.php?p=6351

▲	VRが映し出すのはわかりやすく駄目になってでろでろになってるJK

	あさおかさん 　「この流れで負ける？めっちゃ逆転勝ちフラグたてまくったよ？ウチ？」

	「ヴぇ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～」 じだばたごろごろ。制服が汚れるのも気にしない。

	「でもさー、あびー言ったじゃん？ 　『みんなが望む場所に落ち着いたら万事おけまる』 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　って」 「まー……少なくともここに来てるの知ってるハレコーメンツとならさー」 「住めば都、じゃないけどさー」 「なんとかやってけそーな気がするんだよね～」 「……いやめっちゃ悔しいけど。　泣きすぎて吐きかけた」 余計な情報や改竄！

	「けどリリィちゃんさまは諦めません」

	「目指せファミレス、アンジニティ支店！」

	「ザストでもベニーズでもジョイゼリアでも何でもいいし 　何なら看板メニュー全部やる！？」

	「……まじでさ、大学生になったらさ、きゅーにこーこーせーがまぶしく見えてさ」 「あっちのウチはまあそれそれで大学楽しいみたいだけどさ」 「今ここにいるウチってさ、それを『知ってる』じょしこーせーなわけじゃん」

	「つまり、無敵なのでは！？」

	「まあ『その日』までじっとしとけるわけないし！っていうのもあるんだけど」 「このくらい具体的な目標とー、異能あったらなんかいけそうじゃない？」

	「これけっこー真面目にね？」 「あびーも顔広いしさ、ここで頑張ったの全部ナッシでーすとかめっちゃむかつくからさ～」

	「とりあえず学校とか図書館のがあるはずの場所行って、本屋とかも見て、 　なんかサバイバルとか野草とかの本片っ端から借りてくる！永遠に！」 「んでまー、それするなら知識の独り占めよくないな～、ってことで　ファミレス、 　ってとこまで考えた、　……って言うとちょっとはずいね！打算もりもり！」 「んじゃ、こう、いい感じに気が乗ったらいつでも待ってる！」 「もしクロスローズもスマホ使えなくなっても、 　『あーさーおーかーー！』って強く思ったら届くから！」 「……多分！」 「有効範囲とか確かめたことないんだわ！しまったね～！」

	「とにかく、ウチらは頑張ったし、 　アンジニティに閉じ込められてた『友達』はでられるんだから、 　あとはこっちがこっちでなんとかするしかないよね、ってね」 「まあ、向こうでも、仲良くできたら良いな、って。みんな」

	「以上！！」 「どんな場所でも咲く！リリィちゃんでした～」 CHATの再生が終わる。 それをどう受け止めるかは、あなたと、あなたの隣にいる人次第だ。

▲	雀部 「……。」

	雀部 「…偶にさ。 　おれとお前、びっくりするくらい似てんなって思うときがあんねんな。 　見た目も好きなもんも性格も全然違うのに 　もうひとりの自分見てるみたいな気分になるときがさ。　　あって。」

	雀部 「今もそう。 　お前の話聞いてたら、おれの気持ちってやっぱ本物やなって思うし 　自分に嘘ついてへんなってちゃんと分かる。 　やからおれは、お前に肯いたることしかできひん。」

	雀部 「…　我孫子。」

	雀部 「お前だけとちゃう。おれも逃げた。 　他の誰かより自分を取った。 　そのツケが今、後悔とか罪悪感とかになって返ってきてんねやろな。 　…でもこればっかりは逃げられへん。 　逃げられへんから、めっちゃ重たいし、しんどいけど」

	雀部 「こんな思い詰めるくらいやったら、お前のこと諦めといたら良かった 　―――とか全然思わへんわ。」

	雀部 「考えてること、おんなじやろ。 　独りちゃうねんで。おれもお前も。 　言うてしもたらまあ……共犯みたいなもんやけどさ。」

	雀部 「おれとお前、一緒やったら何処にでもいける。 　どんだけ辛いことあっても、二人やったら向こう側見れる。 　……ちょっと格好つけすぎかな～。 　でも、ほんまにそう思う。」

	「　行こ。　我孫子。　」

▲	隼田院 「安孫子先輩ったら探偵みた～～～～～～～い！ 　あっはは、そっか、舞台で分かられてしまったか。 　芸術って分野に自分が関わるのが、ピンとこなくて。 　これでもいろんな事に関心を持とうとしていたんですが…… 　同時に優劣ってやつを自分のなかでつけるのも嫌で。 　どうにも、均してしまいました。 　むずかしいな。どれにも強い関心を持てたらよかった。」

	隼田院 「そうなんですよね、アンジニティの我々にとってワールドスワップは　 　『なかった事にするもの』じゃなく 　『あった事にしたいもの』だったから。」

	隼田院 「委細承知。 　ではこの隼田院は我孫子先輩のことも先輩との記憶も、必ず忘れません。 　任せて。覚えていましょう。 　……大口たたいているけど、これもゲン担ぎ。 　言っていったほうが本当になるんじゃないかなと思って。 　私の意思が負けたときはすみません。 　覚えていたなら、きっと。 　我孫子先輩が私に力をくれたって事だと思います。 　私は結構、親切な人との約束は守るほうですよ！」

	隼田院 「私のなかの我孫子先輩には。 　アル雀も、美術点が柄とポーズで半々なことも。金鉄も。 　クロちゃんとの出会いも、イチゴサンドの約束も。 　すべてすべて、覚えておいて頂きますので。」

	隼田院 「きっといつか。 　その機会をつくれる世界にしましょう。 　一度は離れ離れかもしれなくても。 　悲劇があなたを襲っても。 　あなたが私を恨まないでくれるなら、きっと約束を果たしましょう。 　私も外から、出来る範囲でお手伝いできると……いいんですが。 　こちらは約束できない。私も見つかりゃお縄かもしれませんからね！ 　はっはっは。 　二倍苦しい分は、二倍楽しいことをできればと思います。」

	隼田院 「……………都合のいい事、いっているのはわかっているんです。 　ごめんなさいね、私も私で譲れない。 　せめてアンジニティの滞在が、短く終わる事を祈ります。 　それでは、また。 　約束があるので、そのようにご挨拶をば！」

周囲は不気味な静けさに包まれています。