［基本］OK.　［戦闘］OK.　［スキル］OK.　

これは読んでも私と彼しか分からない独白だから、あまり気にしないでほしい。

ハザマという世界に来て、一時的に失っていた記憶を取り戻して、それから私はずっと考え事をしていた。
どうしようもない事情で誰を憎んだらいいか分からず、彼を憎み怒りのはけ口にしてきた。
どうしたら彼を許せたのだろう。許せたらどんな幸せな結末だっただろう。

生前、私はずっと彼に八つ当たりしてきた。親友であり、他のいろんなものでもある、そんな彼に。
八つ当たりといえば可愛らしいケンカの延長に聞こえるかもしれないが、八つ当たりを始めたその日に「私がそうと決めたらすぐその場で私にその命を差し出せ。殺させろ」と約束を交わす程度には殺伐としたものだ。彼も立場のある人物だったから、癇癪程度で落とすにはもったいない命で、使えるだけ使おうと思い、そういう約束をしたのだ。

最終的に私は彼を殺した。お粗末なもので、彼を守りながら戦っていた際に隙を突かれ、彼が死にそうになったから慌てて殺したのだ。ちゃんととどめを刺したのは私だ。色白で綺麗な肌からどんどん血色が失われていき、命が絶えていくのを見届けた。
人間と言うのは愚かなもので、失ってやっとわかるのだ。自分が何を殺したのか。
彼を殺した私には何も残らなかった。ほんの一瞬後悔して、後悔がキャパシティを超えて何も感じなくなった。
私たちの人生はどちらにしろあの戦で終わるものだったし、それに不満はないが、最後まで彼に謝らせたこと、彼に寂しさを感じさせたまま死なせてしまったこと、その点だけは後悔しかない。

彼を許したかった。もう憎んでいないと言いたかった。ただの親友だった頃のようにただただ尊敬と友情を交わしたかった。一度くらいは素直になりたかった。お前に出会えたおかげで私は私になれたと。かけがえのない友人だと。親友だと。お前の兄君が存命であれば、私の右腕となって共に国を守ってほしかったと。夫にはならなくていい。それは何か違う。それでも、ずっと私と共に人生を歩んでほしかった。
許せたら、共に人生を歩むことはできただろうに。

あぁ。私はどうしたら彼を許せたのだろう。彼の優しい、甘やかすような微笑に抗えたのだろう。
結局その答えは出ないままこの日を迎えた。
戦が終わったのだから、私はもう用済みのはずだ。好きにしていいだろう。
いい加減、今度こそちゃんと眠りにつきたい……。
あぁでも、ここで呪縛を解けば、ここで死ぬのかな。
折角彼と同じ墓穴で眠れていたのに。あそこに帰りたい……。
私の愛しい雪白の姫君の下へ帰りたい……。