［基本］OK.　［戦闘］OK.　

　……何か知らないけど、勝ったらしいよ？　こっち側が。
　やる気ないからさ、どっちが勝ってるかどうかなんて、まるで調べてなかったんだよね。
　いや、たぶん調べる気になればいくらでもどうにでもなったんだろうけど。

　でもさ。
　興味ない事を調べる？
　普通？

　例えばだよ。例えば。
　買い物をしている途中で急にヒゲ面が浮かんで経済学を学びたくなるとかさ。
　そういうのは、まあ無きにしも有らずだろうけど。
　ないけどね普通。私は絶対に無いと思うわ。

　普通にお会計するのに、急に経済学を知りたくなる？
　ないね。

　つまりさ。

　……例えが悪いね、これ。
　要するに最初から私はあんまりゲームに興味は無かったんだよね。
　さっさと帰りたいの主張を繰り返してたから。

　ま、その過程で一人さっさと帰るつもりだったのが、ついつい『妹』なんて出来て。
　連れ帰らなきゃならなくなったわけよ。

　どうやろうね。

　いや実際、何も考えちゃいないのよ。
　アンジニティが勝った、って事は多分、私達の側が。
　……何だっけ？　"あっち側"行くんだっけ？
　まあいいんだけどさ。どうでも。

　どうでもは良くないね。
　"あっち"行くのもそれはそれで困るわ。
　帰れないから。

　とはいえ、さ。
　大規模に"あっち側"の人と、"こっち側"入れ替えするんでしょ？　たぶん。
　その隙を縫えるんじゃないかなって。
　ま、普通のお姉さん的発想だけど。

　大体、何か"あっち側"が"こっち"来たら他の世界が動くとか何とか言ってるし。
　たぶんどうにかなると思うんだよね。
　どうにか。

　まあ何かしら手は打つわ。……帰る為にね。
　帰れるかどうかは知らないけど。
　意地でも帰ってやる。
　帰宅部ナメんじゃないよ。

　中学高校、どっちもちゃんと部活してたけどさ。

---

　さて。
　と、なると。

　唐突に思い出振り返りコーナーってとこかな。
　いやさ。たぶん、本当に最後でしょ？　これ。
　今語らずにしていつ語るってのよ。

　……ま、語るも何も無いけど。

---

　まずセンセイ。
　こっち側だと、何か『鬼』だか何だか、言ってた気がするね。
　お蔭様で、無様に足掻いてみたら良い具合になったよ。
　ありがとね。"こっち"ではちょっと嫌な奴だったけど。
　それでも感謝って言葉は知ってるよ。ちゃんとね。
　お陰で大分良い具合にはなったんだから。

　……まあ、センセイには散々酒奢って貰ったし、ね。
　"あっち"の私が、だけど。



　あとは――モモ。ああ、『妹』じゃない方。
　……何か思ってそうねえ？　いや、『妹』がさ。

　ま、それはいいんだけど。

　前の"ゲーム"ん時から、よくお喋りはしたね。
　"こっち側"では。
　オフ会もしたしね。……オフ会も何もないけど。
　ま、ちょっと頭に血が上りやすそうだったけど……良い子だと思うよ？
　私も楽しかったしね。お話は。
　こう見えてもお喋り大好きだからね。



　あとは――ああ、執事さんね。
　色々心配してもらったね。有り難い事に。
　ま、結局ちょろっと話したっきりだけど。今となっては。

　……生きてんのかしらね？
　ああ、でも何やかんや生きてる気はするわ。

　そういやアタマは平気になったよ、って伝えるんだった。
　まあいっか。どっかで会えば、また。

　……どっかで会えるのかしらねえ？
　無いと思うよ。私。

　ま、いいや。
　いいんだよ。

　大体の事はまあいいやだから。



　それから――ああ、胸がナイスな美少女とかもいたね。
　アレはよくわかんない。今時の若者って何かエラく健康的だね。
　そう思ったくらいかな。

　どうなったのかしらね？　ま、どうなったとしても――
　ああ、死んでたりしたらちょっと悲しいけど。



　最近で言えば、珍獣とお姫様ってとこかな。
　……アレ、大丈夫かしらね？　お姫様の方。いやたぶん姫じゃないけど。
　何となくだけどね。姫とは思えないんだよねえ。気のせいかしら。

　これでもさ。
　それなりにネトゲやってた頃には、何となーくネカマか否か、
　見分けは付いたけど。

　……どうだろうね。精神構造そのものとか入れ替え出来たらきっと分かんない。

　あと珍獣。
　ハンターに狩られといて。

　……もとい。ナルシストなのかしらね。あるいはクソデカ羅生門よろしく、
　意地でも言葉を飾らないと死ぬタイプか。
　それとも。……ああどうだろ。精神的にアレなのはたぶんわかるよ。私と同じで。

　可哀想にね。現代社会の歪みが産んだ子だわ。
　ま、哀れむだけなんだけどさ。もうどうしようも出来ないし。時間切れで。

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　それで。

　『妹』ね。……"モモ"。

　アレもよくわかんない。未だに。
　しばらく前から組んで"こっち"探索してるけどさ。
　幼い割に、色々と頭を回してる気がするんだよね。

　何ていうか。
　ま、いいや。

　ともかく人の『妹』に、何だか成り済まして。
　近付いてきたのは良いけどね。

　散々脅したり何だりした気はするけど、結局こうして手を取って。
　実際のところ、今は本当に『妹』だと思ってるよ。
　嘘偽り何も無しに。

　最初は"嘘"だったり"偽り"だったりしたんだろうけどさ。

　……ま、いいよ。それはそれで。
　最初がどうであれ。……あ、殺しに来るようなら論外だったけど。
　さすがに人殺しとは仲良く出来ないわ。

　人殺しと？
　違うね。私を殺そうとするタイプには、か。

　結局利己的だからね。私も。

　で、何の話だっけ。

　ともかく。
　今はどうやって連れ帰るか。

　というかそもそも私帰れるの？　に戻るんだけど。

　ま、戻る気になれば戻れるわ。……たぶんね。たぶん。

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　まあ、とりあえず。

　手は伸ばしとかないとね？
　『姉』として。
　勝手にどっか行く『妹』、ちゃんと捕まえとかないとさ。

　……にしてもどうしようね、ホントに。