「……結局、ヨナには何もできなかったのかな……
　みんなのためになることも、ヒナの幸せを守ることも。」


『私とともに来たところですぐに大きく変わることはあるまい……
　だからこそ、今持つものを捨ててまで来ることもない。
　お前には捨て難いものもあるだろう。』

『もうひとつは、これから叶えていけば良い。』


「あなたにも……寂しい思いをさせただけだったね。
　そのぶん、これから一緒にと思ってたけれど……」


『私は、私たちとお前たちにとって、還ることが最良だと考えていた。
　だが今は違うのだ……その先に私たちが失ったものがあるのかもしれない。』

『……泣くな。
　生きて、その先を見せてほしい。』


「……、うん、……」


『セシリアがどこまで本気で言っているのかはわからないが
　ついて来ると言うのなら、音を上げるまでは付き合ってもらうとしよう。』

『……ヨナ、元気で。』


「ありがとう……。……」

---

「ねえさまいつ帰ってくるのかな？
　げっこうよく、おはなししながら一緒にやりたいよ。」


「わかんない。
　でも大丈夫だよ、かあさまがそう言ってたもん。」


「ねぇ、次の春には帰ってくる？」


「だから、わかんないってば。」


「……。
　じゃあ、大丈夫って何のこと……？」


「それもわかんないよ。」


「……。」


「……心配いらないよ。
　かあさまが、ねえさまは幸せになるんだって言ってたんだもん。」


「ほんと？」


「ほんとだよ。
　かあさまは何だってわかっちゃうんだから。」


「そっか～。
　じゃあはやく帰ってこないかな～。

　……次のおやすみの日？」


「そんなにはやくは帰ってこないよ。
　ねえさまは勉強をしに行ってるんだから。」


「そっか。

　……早く会いたいね～？」


「……うん。」

▲	ウォン 「いえ」 首を横に振った。 「あなたが、この場所に居れるように、歌います。居なくなったとしても、居てほしいと願って」 それは、この人形が見せた、初めての、欲。 だからきっと、この戦火が望まぬ形になったとしても。 ずっと、あなた達の隣で。歌い続ける。 この言葉にどう返答したのかは貴方と人形しか知らない。 なにせ、隣りにいるのだから。だから記録に残る会話はこれが、最後だった。 「それが、コレの出来る、ヨナ様への恩返しです」

▲	シュリ 「……行っちゃった。 　忘れなさいって言われたけど、 　友と呼ぶって言葉は、忘れたくないなあ……」 ひとり残った後に、ぽつり呟いた言葉は空気に溶けて天に上る。 「……あなたにも良き夜と、良き眠りがありますように」

▲	セシリア 「いるわよ。 　私は決めたもの。ヤチェと添い遂げると」 黒き獣を包み込むように手を伸ばした。 私の祈りをあなたに直に注ぎ込むように。 「私の願いは陽くんとヨナちゃん。 　私が大事だと認めた可愛い子たちの幸せを願うこと。 　そこに私は必要ないわ、私は永くを生きすぎた」 それは真実。 嘘偽りなき私の願い。 それからね。 「私の願いに、あなたも当然含まれているのよ。 　共に行きましょう。 　共に願いましょう、私達の子らが幸多からんことを」 神たるあなたには、願いを叶える実行力がある。 それゆえ自分は願えないというのなら。 あなたの願いは私が掬い上げるわ。 一緒に叶えていけばいい。

	セシリア 「解放なんて必要ないわ？ 　されても私があなたを離さないから、覚悟しておいて」 私が望んだ天にあれるというのなら、そんな幸せなことはない。 私は今、神と一つになれる。 神に添い遂げることができる。 吸血鬼じゃない。 聖女として。 何かを救うことができるという幸せを噛みしめることができるのだ。 「あなたを一人にしない。 　それは陽くんとヨナちゃんの願いでもあるわ。 　いちばん大事な願いでなかったとしても、それは本心よ。 　私だってそう、人は多くの願いを持つものだもの。 　それを否定したりしないわ」 だから。 「一緒に還りましょう？ 　未来永劫、永久に。 　健やかなる時も病める時もあなたと共にあるわ、ヤチェ」 私なあなたを愛すると誓いましょう。

	セシリア 「ヨナちゃん。 　私の陽くんをどうか、よろしくね」 ヤチェが鼻先を寄せたあと、優しくその髪を撫でてそっと……ヤチェに寄り添った。 私は共に天の海に還るのだと言わんばかりに。 「陽くん。 　ずっとずっと大好きよ。 　だから……どうか幸せに。 　大好きな人と繋いだその手を、ずっと離さないでね」

	ロザリオがキラリと光って。 セシリアの身体もまた、少しずつ薄くなる。 それは神がヤチェとセシリアを祝福したのか、添い遂げることを許したのかわからない。 ただ。 その光はひどく優しく二人を見送ってるようだった。

	陽 ―――言葉にならない。 セシリアに、ヤチェに、何か言わなきゃいけないのに紡ぐ言葉を失くしたかのようだった。 「あ…………」 嘘だ。 俺も一緒に行くはずだったのに。 また俺は、こうしてセシリアにその身を犠牲にさせてしまっている。

	陽 「セシリア！！！ヤチェ！！！！」 どうして。 今度は俺が、あなた達に返すべきだったのに。

	陽 「――――あぁ、でも」 俺はこの手を離したくない。 自分の手を握ったまま気を失ったヨナを、大事そうにそっと抱き上げた。 小さく、軽い身体。 白い肌。 柔らかい髪。 凛とした声。 全てを見透かすような透き通った金の瞳。 ―――甘く芳しい血の香り。 すべてが愛おしくて。 大切で。 俺が護るべきたった一人の女の子。 大切なものを慈しむように、その頬に、唇に自分の唇を寄せた。

	陽 ―――俺はヨナを泣かせてばっかりだ。 笑っててほしいんだ、ずっと、ずっと。 俺のそばで。 「ヨナ……。 　俺はヨナが好きだよ。 　一緒に居るよ、ずっと。 　だから……、俺と行こう、どこにだって行けるはずだから」 何年後、何十年後、下手したら何百年後。 俺が、塵になるまで。 俺はヨナともに在ることを選ぶ。

	陽 ずっとずっと。 一緒に歩くから。 この先の俺達の運命がどうなったとしても。 この手を離すことは絶対にないから。 健やかなる時も病める時も いつまでも――――――

▲	キャロ 「まぁ、最近、吸血鬼になった物というがのぅ、せっしーの牙を引き継いでおるあｋらのぅ・・・　牙自身は鋭いのではないじゃろうかのぅ？ まっ、確かに、今このタイミングでそんな時間はなさそうじゃのぅ。 ピクニックも終わりじゃろうしのぅ」 「恋愛にも最適解があるというわけでもないのじゃけどな。 同じじゃと楽しくなかろう？　 ボードゲームだと最適解が分からないように作られておるからのぅ。 最適解が分かったら、常に同じ動きをして楽しくないしのぅ」」

	キャロ 「うむぅ、神前しかないのかぇ？　となると、ウェディングドレスより白無垢の方が主にはあうのかのぅ？　白い髪に白無垢となると、まさに儚げな雰囲気があるのぅ」 まっ、陽の奴は、吸血鬼じゃから、教会よりはそっちのほうが良いのかのぅ？ 十字架など神社とかにはないじゃろう・・・し とはいえ、アヤツ効かぬきゅうけつきでもあったのぅ」 「じゃが・・・媚薬で心を縛っても面白くないと思うじゃがなぁ？ 自分の思い通りにならないものがおった方が楽しい気がするのじゃがなぁ？ まぁ、わらわ自身が、お主らみたいに、燃える恋などしたことがない故分からぬだけかもしれぬがな。媚薬を欲しいって思うほどの相手を見つけれたら違うやもしれぬがな」

	キャロ 「うむぅ、主との会話も楽しかったのじゃぞ。 二人の子と頼むわって言われてものぅ・・ わらわ自身もあ奴らとずっと共にできるとはおもっておらぬゆえな。 いつかは祖国に帰らねばならぬしのぅ。 頼むぐらいなら主も一緒に来ればよかろうに？ うむぅ、よき友で居るというのはそれは頼まれようぞ。 どんな風に二人が進むのかは楽しみではあるのぅ」」

	キャロ 「じゃあ、やちぇもまたあおうぞ （にかっと笑って手を振るだろう）」

16人の声が響いています。