ひとりの青年が居ました。
それは貧民街に棄てられた青年でした。
彼は〝ある出来事〟をきっかけに街を飛び出しました。
広い広い広大な世界を走り続けました。
飛び出した先は色彩に溢れていました。



けれど気が付けば〝赤と黒の世界〟に迷い込んでしまいました。

どこで道を逸れたのでしょう？
どこで道を間違えたのでしょう？

無我夢中で走り続けたせいで引き返す道もわからなくなりました。

途方に暮れました。
きっとここに居続けてはいけない――という事はわかっていたのに。



そんな彼に声が掛けられました。
そこに居たのはひとりの少女でした。





そこから運命の歯車が回り始めました。





……
…………
………………
…………
……





そうしてふたりと旅を続けた果て。
ふたりに同行してくれた仲間たちと旅を続けた果て。

青年と少女は仲間たちと共に最後の敵を倒しました。

それと同時に世界が変わり始めました。

恐らく――この変化に巻き込まれればひとたまりもないでしょう。



もっとゆっくりたくさんお話ししたかったけれどもう時間は残されていません。



その時青年が持っていたタロットカードが光り輝きました。

別々の世界に生きるふたりのお別れの時です。



いつもにこにこ笑っていた少女が笑えずに泣きました。
けれどそんな少女に青年は精一杯笑って叫びました。





「此処ではないどこかできっとまた会えるさ」





その言葉を最後にお互いの視界が真っ白になりました。



そこできっともう大丈夫だと青年は確信しました。





少女の泣く声が止んだから。

16人の声が響いています。