［基本］OK.　［戦闘］OK.　

Scene1 そして船は動き出す

手をつないで、街を歩く姉妹に視線がとらわれた。
日に焼けたツインテールの妹と、セミロングの姉。
仲良く笑顔で歩いていく。
そんな夢を見た。

「おい、アフロ。起きてるか」

煩いな。文句を言おうとしたが、唇が震えて言葉にならなかった。
自分がまだ泣いてるんじゃないかと瞼を擦ったが、やはり瞼は濡れていた。
髪をかき上げようとして、もうないことを思い出す。
私の名はアフロ。坊主頭だ。

「……何か用か」
「飯、食うだろ」

返事の代わりに、ベッドから起き上がった。黙って食卓につく。
椅子には、赤髪のマイトに、エルフ耳のネル、最後に坊主頭のアフロこと俺だ。
何かに祈りを捧げるネルと、いただきますと食べ始めるマイトを横目に。
ぼんやりと、目の前の食事を見ている。

「まだ、立ち直れてないのか。食えよ。」
「二人を殺したのは俺だ」
「最初から死ぬつもりだったのさ……別にお前に責任なんてないぜ」
「死ぬことはなかった」
「難しいな。忘れろよ。僕達にはやることがある。食えよ」
「……無理だ。こんな気持ちじゃ」

ため息。着ていたシャツの胸倉をつかまれて、マイトが凄む。
迷惑そうなネルの顔が見えた。食卓が荒れる。

「あの姉妹は呪われてたんだ。一緒に生きるという約束を、一人じゃ死ねないという呪いに変わって。
　妹が死に損なって、暴走して周りを巻き込みはじめたから、姉は責任を取ろうとした。
　結果、輪廻転生を信じて彼女たちは死んだんだ。お前が、偉そうに、気にすることじゃない」
「二人があのまま生きる道もあった……はずだ」
「あったとして、多数の犠牲を出してる妹を赦せるのか。無理だろ、あの姉は」

掴んだシャツを離して、吐き捨てるように男は言った。
かぶりを振って不敵に笑う。

「忘れろよ。女のことは」
「お前に言えた義理なのか……関係はあったんだろ、二人と」
「……大した仲じゃないさ。やることをやろうぜ」
「協力するとは言ったが、やることってのはなんだ」
「眠れるお姫様を救うのさ。英雄的だろ？」

ENo.303 明楽 とのやりとり


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