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紫明 「さぁ進め、成就の為に。」 |

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遠目には、きっと周囲と変わりない建造物。 歪に組み合わさったそれが、景色に溶け込みながら"敵"を取り囲む。 ――その内側にオレはいた。 |

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「そうだろ、お前も!」 街に向かって叫ぶ。返事があるわけもない。今までだってそうだ。 こいつのやろうとしていることは何だって解らない。 何を考えて動いてるのかとか、どうしてここを選んだのかとか。 |

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あの子供が話しかけていたような、人間みたいに考える部分なんかこいつにはないんだ。 いつか、なんて来る気もしないほど、人間とこいつは遠い。 なあ、でもさ。 |

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「オレは化け物とは違う……」 ずっと、漠然と自分に不満を抱えていた。 大学はまあ休まず通ってるし、……全然充実しているとは言えないが。 それでも"将来"に向かって進んでいて、それ以外にはっきりとやりたいことなんかなかったのだ。 |
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「けどな、全部じゃない。全部違うわけじゃない。 お前だって助けたいって思ってるんだろ、なあ……!」 この街のことは、全く何も解れない。 ただ一欠片だけ、オレに混ざった部分だけは共感できる。 もう違うだのなんだのごちゃごちゃ言うのはやめだ。 あれがオレに向けられていると感じてしまった時点で、何もかも投げ出せやしない。 |
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オレは、関わる全ての誰かを救える何者かになりたかった。 |



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「諦めてもいい、なんか言うヤツを、ほっとけるかよ! どいつもこいつも……普通に暮らしてただけだ!それくらい叶ったって……!」 暮らしていた人々のことを知らされて、知って、そう思わずにはいられない。 この街だって、恐らく同じ事を望んでいる。それなのに。 |

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結局最善は、"そういうことができる"人間を連れてくる。 それだけだ。 「このッ……くたばるなよ!」 |
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紫明 「人心地」 |

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紫明 「こんなでかい的外すのかお前は?」 |
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紫明 「ひとり。」 |
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「だがな……他のヤツの場所取る必要なんかないだろ……! 何で襲ったり……」 それが理解できない。やってほしくもない。 |
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身代わりのように、ボロボロの標識が飛び出す。 |
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身代わりのように、ボロボロの標識が飛び出す。 |

| 街喰らいのカード発動! |
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『あたった!』 子供の声だ。 『あげるよ!もうおれ十分だからさ』 |
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紫明 「どこを狙ってるんだ熊谷に当たったらどうしてくれる?」 |
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紫明 「終わりか?」 |
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もっとオレが直接何かできたら、変わっただろうか。 こうやって影響を与えられる事だって、この街とオレが完全に別物じゃないという証明だと思えるのに。 オレとこいつじゃできることが違う。 |
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「お前もなんだってこんな事に加担しなくちゃならない……!」 きちんと聞こえるかはわからない。 これはこの場にいるもう一人に向けて。 |

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紫明 「終わりか?」 |
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結局最善は、"そういうことができる"人間を連れてくる。 それだけだ。 「このッ……くたばるなよ!」 |
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紫明 「もう少し、」 |
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0 2 0 2 0 3 |
火 水 風 地 光 闇 |
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紫明 「こんなところで邪魔されるわけにはいかないんだよ、俺も。」 |
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「検体の観察を終了。試行23回目を開始します」 |
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突き立ったスピーカーからぶつ切りの、 合成したような、 しかし雑音はない音声が流れた直後、 |
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街は元通り、誰の姿も見えないいつもの姿で、 次の"敵"へ向かって、移動を始めた。 |
