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紫明 「進め進め、希望や願いを捻り潰してやろう!」 |

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遠目には、周囲と変わりない建造物があった。 電柱。看板。標識。街灯。ミラー。人影。 歪に組み合わさって、数を増やし――景色に溶け込みながら"敵"を取り囲む。 |

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なずな 「これ、本当にやらきゃ駄目なの……?」 |

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スバル 「…気持ちで負けてちゃダメだよな…大丈夫…大丈夫…」 |



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黒く沈んだ色をした地面がせり上がる。 それはただ盛り上がった塊になるわけではなく、明確に形をとった。 四角く、屋根がついた、機材が並ぶそれは―― 野外ステージのようだった。 |
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中心に置かれたマイク。 その前に人の姿はない。歪な黒いなにかがへばりついているだけだ。 そして無地だった黄色い標識に文字と図柄が並ぶ。 騒音注意、爆音注意、耳栓のようなマーク…… |

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「逃げるな」 「許さない」 「逃げないでよ」 「お前だけ」 「逃げるなんて」 「逃がさない」 |
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「逃げて」 「いいよ」 「逃げろ」 「1人だけでも」 「無事に」 「逃げられるうちに」 |

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相反する様々な声を響かせながら、動く建物が、あなたたちを取り囲む。 そこから咎めるような視線が、すがるような視線が、見守るような視線が―― けれどもその建物の中に人影は見つけられないだろう。 声も気配も、全て戻らない過去のものだ。 |
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この街は生きている。この街は街ではない。 あらゆる街を取り込んで自身の一部へと変えた、生物兵器だ。 |



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『そんなに飲んだらお腹こわすよ!』 『へーきだって!』 辺りに雨が降る。 しゅわしゅわと音を立て、辺りを溶かす酸の雨だ。 |

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紫明 「ちゃんと狙え、当たってないだろう」 |
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スバル 「あ、やばっ…」 |

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紫明 「こんなでかい的外すのかお前は?」 |
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なずな 「……!」 |
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タッタッタッタ…… 木漏れ日のような、緑の光が降り注ぐ。 光の間を足音たちが駆け抜けていく。 けれども、 |
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そこに緑はない。 黒く枯れたような木々が立ち並んでいるばかりで。 |
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紫明 「ちゃんと狙え、当たってないだろう」 |
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スバル 「あ、やばっ…」 |

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辺りに広がりつつある炎。 立ち上る煙。 そこに誰がいようとも、熱が包み込もうとしてーー |
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「また今日もヤンチャしてきたのねぇ。手当するから、さあ座って」 煙の中から絆創膏が一枚。それでは覆い隠せないはずの傷を、広がろうとしていた火の一部を、ただ滑るだけで消していく。 |
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紫明 「悪くない」 |
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紫明 「どこを狙ってるんだ熊谷に当たったらどうしてくれる?」 |
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スバル 「あ、やばっ…」 |


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紫明 「こんなでかい的外すのかお前は?」 |
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なずな 「……!」 |
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ガラスに映る、人、人、人! その誰もが、この場所に立つ命のことなど見ていない。 あるのは、それらを監視する目。 |
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紫明 「どこを狙ってるんだ熊谷に当たったらどうしてくれる?」 |
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スバル 「あ、やばっ…」 |


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なずな 「怖い…… 気持ち悪い……」 |
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なずな 「……!」 |
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「aaaaaaaaaaaa--------------------」 マイクにへばりついた塊が音を発する。 まるでリズムも音階も存在せず、殴りつけるような音に、何の想いも乗ってはいない。 |

| なずなのカード発動! |

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紫明 「ちゃんと狙え、当たってないだろう」 |
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なずな 「……!」 |
| 椿鬼のカード発動! |
| リズン 「本職じゃないからね〜。上手くいかなくてもご愛敬ってことで!」 |
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辺りに広がりつつある炎。 立ち上る煙。 そこに誰がいようとも、熱が包み込もうとしてーー |
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「また今日もヤンチャしてきたのねぇ。手当するから、さあ座って」 煙の中から絆創膏が一枚。それでは覆い隠せないはずの傷を、広がろうとしていた火の一部を、ただ滑るだけで消していく。 |
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紫明 「ちゃんと狙え、当たってないだろう」 |
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紫明 「人心地」 |
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紫明 「もう少し、」 |
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紫明 「もう少し、」 |
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紫明 「悪くない」 |
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紫明 「どこを狙ってるんだ熊谷に当たったらどうしてくれる?」 |
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スバル 「あ、やばっ…」 |
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スバル 「あ、やばっ…」 |
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紫明 「こんなでかい的外すのかお前は?」 |
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スバル 「あ、やばっ…」 |


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なずな 「怖い…… 気持ち悪い……」 |
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紫明 「ちゃんと狙え、当たってないだろう」 |
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なずな 「……!」 |
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建物の一つから、瓦礫が真っ直ぐ飛んでいく。 |
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辺りに広がりつつある炎。 立ち上る煙。 そこに誰がいようとも、熱が包み込もうとしてーー |
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「また今日もヤンチャしてきたのねぇ。手当するから、さあ座って」 煙の中から絆創膏が一枚。それでは覆い隠せないはずの傷を、広がろうとしていた火の一部を、ただ滑るだけで消していく。 |
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紫明 「悪くない」 |
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紫明 「悪くない」 |

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なずな 「ううう……!」 |
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街の景色が一変する。 道路も建物も、まるで今も使われているもののように新しく。 まるで誰かが利用しているように、扉が開け締めされる。 |
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なずな 「もっと頑張るね!」 |


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紫明 「ひとり。」 |
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辺りに広がりつつある炎。 立ち上る煙。 そこに誰がいようとも、熱が包み込もうとしてーー |
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「気をつけてって言ったのに……消毒、染みるからね!」 煙の中から絆創膏が一枚。それでは覆い隠せないはずの傷を、広がろうとしていた火の一部を、ただ滑るだけで消していく。 |
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紫明 「人心地」 |
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紫明 「もう少し、」 |
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紫明 「もう少し、」 |
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なずな 「ありがと……」 |
| なずなのカード発動! |
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なずな 「スバルくん、ごめん……」 |
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スバル 「池田ちゃん先に逃げて!!俺が時間を稼ぐ!…とか人生で一度は言ってみたかったよね!」 |

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スバル 「使いどころここ!!いくぜトラップカードオープン!!」 |
| 歌声のカード発動! |
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らじちゃん 「ちょっくらお手伝い!」 |

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建物の一つから、瓦礫が真っ直ぐ飛んでいく。 |

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「aaaaaaaaaaaa--------------------」 マイクにへばりついた塊が音を発する。 まるでリズムも音階も存在せず、殴りつけるような音に、何の想いも乗ってはいない。 |

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スバル 「うわっ…!怖あ~~!!そんなん一撃死だって!」 |
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建物の一つから、瓦礫が真っ直ぐ飛んでいく。 |

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紫明 「終わりか?」 |
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「aaaaaaaaaaaa--------------------」 マイクにへばりついた塊が音を発する。 まるでリズムも音階も存在せず、殴りつけるような音に、何の想いも乗ってはいない。 |

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スバル 「うわっ…!怖あ~~!!そんなん一撃死だって!」 |



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紫明 「ひとり。」 |
| 椿鬼のカード発動! |
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「aaaaaaaaaaaa--------------------」 マイクにへばりついた塊が音を発する。 まるでリズムも音階も存在せず、殴りつけるような音に、何の想いも乗ってはいない。 |

| 街喰らいのカード発動! |
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紫明 「悪くない」 |
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スバル 「うわっ…!怖あ~~!!そんなん一撃死だって!」 |
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スバル 「あ、やばっ…」 |
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スバル 「ええい!!あるもん使っとけ!トラップカードオープン!!」 |
| 歌声のカード発動! |
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産声は過去の呼び声── |
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スバル 「ウオーーーー!!!最後っ屁ーーー!!!!」 |
| 歌声のカード発動! |
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スバル 「いや無理!!!!!池田ちゃん!逃げるぞ!池田ちゃーん!!?」 |
| 0 0 0 0 0 0 |
0 0 0 0 0 0 |
0 0 0 2 0 0 |
火 水 風 地 光 闇 |
1 0 0 1 0 0 |
0 0 0 0 0 0 |
0 0 0 0 0 0 |
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紫明 「……本気でやらんと、全てが手から滑り落ちるぞ」 |
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「おはようございます。本日は燃えるゴミの収集日です。ごみは朝8時までに出してください」 |
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突き立ったスピーカーからぶつ切りの、合成したような音声が流れた直後、 溶けるようにスピーカーが消える。 周囲の建物も、いくつかが同じように『収納』されたのち、 |
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半端に人の形をした"中心"が、建物を引き連れながら移動を始めた。 |
