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紫明 「さぁ進め、成就の為に。」 |

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遠目には、きっと周囲と変わりない建造物。 歪に組み合わさったそれが、景色に溶け込みながら"敵"を取り囲む。 ――その内側にオレはいた。 |

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前時間のことがオレに流れ込んで来るのか、 前時間のオレにオレが流れ込んでいるのか分からない、何度目かの曖昧な感覚。 どちらでも変わらない。今回も前と同じことになるのかも知れない、それだけだ。 |

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だから何だ。 それで行き先を変えて、何になる。 どうせ逃げ場もないのなら好きにやってやる。 |

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だが、今回は取り囲まれることはなかった。 やはり幻のように、少し離れた場所にひとつだけ人影が立っている。 |
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それのことも退かして、進もうと思ったのだ。 |
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「あー、えっと、聞こえてるかな」 それなのに、今。 「今――君は、何をしているところ?」 目の前に立つ少年と、目が合っている、気がする。 |



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ざわざわと、葉のない木の葉が揺れる音がする。 何、って…… 『……ーーー゛ッーー』 |
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「えっと……まずは自己紹介かな。オレは***、***、ちょっと呼びにくいかな」 肝心な所が聞こえない。それに、全体的に聞き取りづらかった。 |

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僅かに違和感を覚えながら話しかける。 聞こえてるのか!?なあ!お前はオレと…… 『ーーーーザーーッ、ーーーーザッ』 |
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「先生に聞いたんだ。君のこと。 オレは他に言い残す人もいないから……どうせなら君に残そうと思って」 伸ばした手で触った――ような感覚があっても、少年は何の反応もしない。 オレの言葉に反応したようにも見えない。 結局、これも他と同じだ。同じで、会話なんかできないんだろう。 けど―― |
| 街喰らいのカード発動! |
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『あたった!』 子供の声だ。 『あげるよ!もうおれ十分だからさ』 |
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紫明 「人心地」 |
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紫明 「ちゃんと狙え、当たってないだろう」 |

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紫明 「終わりか?」 |
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どうして、"オレを見て話していない感じがしない"のだろうか。こんなにも。 |
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一体"何"に対して話しかけているのか。それを考えれば…… 「とりあえず……これまでお疲れ様! 今どんな調子?みんなを助けることは、できそう?」 オレに話しかけているわけがないのに。 少年の前から離れることなく、結局この時間の"最期"までその場で言葉を聞いていて―― その間、邪魔が入ることもなかった。 |

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紫明 「ひとり。」 |
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2 0 0 2 0 0 |
火 水 風 地 光 闇 |
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紫明 「こんなところで邪魔されるわけにはいかないんだよ、俺も。」 |
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「情報の再生を終了。試行22回目を開始します」 |
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突き立ったスピーカーからぶつ切りの、 合成したような、 しかし雑音はない音声が流れた直後、 |
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街は元通り、誰の姿も見えないいつもの姿で、 次の"敵"へ向かって、移動を始めた。 |
