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――甘い香りが辺りに漂い始めた。 |
| 能面で顔を覆う。その表情はうかがい知れない。 |
| 手にした小刀の切っ先を顎下に宛がう。右の手で柄を叩くと、刃はするりと咥内に挿入され、切っ先は延髄に達した。 |
――――リン |

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レックス 「あまり戦闘はしたくはないのだが、引いてはくれないか?・・そうか、無理か。」 |
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堂島 「―――さて、では早速、UD理論の講義を始めさせてもらおうかの。」 |

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コカトリス 「いざ、突撃である。」 |

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アルラウネ 「なんか怖いこと、する気ですか・・・?」 |






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甘い香りと共に、そよかぜが流れる。 それは森のように。 |
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そこに立つは紫髪の少女。 少女が指を振ると、扉を起点として壁が、窓が、どんどん構築されていく。 |
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いつしか、その場所はお菓子の家となっていた。 少女はスカートの裾を掴んでぺこりとお辞儀をした。 「ふふ、はじめるであります」 |
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堂島 「相手の攻撃と同量、同力のちからをぶつけて相殺する、これぞUD理論に曰く、『同撃相殺』である。」 |
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堂島 「―――さて、ではUD理論における基礎理論講座を始めるとしようかの。」 |
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堂島 「まず最初に『ジャイロ効果』について話そう。これは「物体が自転運動をすると姿勢を乱されにくくなる現象」を指す。回転しているコマとか走行している自転車が安定するアレである。」 |
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堂島 「そしてもう一つ、『作用反作用』というものがある。まあ、ハンマーとかで何かを打った時、衝撃は物体とハンマー両方に分散され、物体はへこむしハンマーは弾かれる、そういう動きである。」 |
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堂島 「さて、ここでUD理論を展開する。『打撃時に発生する反作用を、攻撃者に備わったジャイロ効果で受け止めることで反作用によって衝撃を逃がすことなく対象にぶつける』・・・これを『ジャイロ正拳』と呼ぶことにする。」 |


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コカトリス 「アニキぃ、あいつ多分ビビッてやすぜ?」 |

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少女はスカートの裾を軽く持ち上げる。 ごとりといくつかビスケットが落ち、それらは速く回転して丸ノコのように襲い来る。 |
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堂島 「いいかね、人間の身体には血液が循環しておる。回転しておる。ぐるっぐるに。ジャイロ効果の軸はここから発生させれば良い。 あ、つまり~、 血液循環を超高速に回転させる!!体軸にジャイロ効果が発生する!」 |
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堂島 「おおっと。いかんいかんやりすぎた。すまんの☆」 |
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アルラウネ 「結構身を削って頑張ってるんです。」 |

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コカトリス 「アニキぃ、あいつ多分ビビッてやすぜ?」 |

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「…ふふ、こういうのはどうでありますか?」 少女が手を振ると、その身体が二つに分かたれる。 そこには同じ顔をした、二人の少女が立つ。 |
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現れたもう一人の少女は、くすくすと笑っている。 |
| レックスのカード発動! |
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クロウ 「何か治るらしいで・・・・そんな事よりビール美味しいwww」 |
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堂島 「すまんの。歳を取ると、自前の元気だけでは中々、の。」 |
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堂島 「ん?『ぐるぐる回転しながら攻撃してジャイロ効果を発生させるんじゃないのか?』だって?がはは、わざわざ回転する必要もないわい。」 |
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堂島 「おおっと。いかんいかんやりすぎた。すまんの☆」 |
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アルラウネ 「よ・・・寄らないでください・・・・・」 |
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堂島 「相手の攻撃と同量、同力のちからをぶつけて相殺する、これぞUD理論に曰く、『同撃相殺』である。」 |
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堂島 「相手の攻撃と同量、同力のちからをぶつけて相殺する、これぞUD理論に曰く、『同撃相殺』である。」 |
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コカトリス 「無茶してやがる。」 |
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アルラウネ 「あわわわわ・・・・・」 |


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コカトリス 「おっと飛び出しすぎだぜ?気をつけな。」 |

| ひと ふた み よ いつ む |
| なな や ここの たり |
| ふるべ ゆらゆら と ふるべ |
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ふよふよと飴玉が浮かぶ。 飴玉はもう一人の少女へと吸収されていくだろう。 |
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アルラウネ 「よ・・・寄らないでください・・・・・」 |
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堂島 「相手の攻撃と同量、同力のちからをぶつけて相殺する、これぞUD理論に曰く、『同撃相殺』である。」 |
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堂島 「すまんの。歳を取ると、自前の元気だけでは中々、の。」 |
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コカトリス 「無茶、したぜ・・・・・」 |
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アルラウネ 「あわわわわ・・・・・」 |



| ひと ふた み よ いつ む |
| なな や ここの たり |
| ふるべ ゆらゆら と ふるべ |
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『グレーテル』 「…!」 |
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お肉の気配を察知した! |
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堂島 「さて、ワシの体内循環が高速で回っている。それはつまり、相対的に逆説的に、『ワシの体内循環が止まっていて、世界が高速回転してるのと同義』とも言える。ワシは自身の体内循環を制御することで、世界の動きを、加速し、停滞させ、自在に制御できるというわけじゃ。わけじゃったらわけじゃい!!」 |
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レックス 「死なせはしないとも。ああ、きっとだ。」 |
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アルラウネ 「あわわわわ・・・・・」 |

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『グレーテル』 「…!」 |
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お肉の気配を察知した! |
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『グレーテル』 「…!」 |
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お肉の気配を察知した! |
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堂島 「無論、体内ジャイロは防御にも使える。 相手の攻撃を、ジャイロで受け止めるのである。」 |
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アルラウネ 「こ、こっち来ないでください・・・」 |
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レックス 「死なせはしないとも。ああ、きっとだ。」 |
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堂島 「すまんの。歳を取ると、自前の元気だけでは中々、の。」 |


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飴玉が注射器へと変化していき、同時に魔女の血でそれが満たされていく。 注射器は毒牙のごとく、相手を襲いゆく。 |
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アルラウネ 「これ、どうです?」 |
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レックス 「脚を止めて貰うぞ」 |



| ひと ふた み よ いつ む |
| なな や ここの たり |
| ふるべ ゆらゆら と ふるべ |
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飴玉が注射器へと変化していき、同時に魔女の血でそれが満たされていく。 注射器は毒牙のごとく、相手を襲いゆく。 |
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堂島 「無論、体内ジャイロは防御にも使える。 相手の攻撃を、ジャイロで受け止めるのである。」 |
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堂島 「相手の攻撃と同量、同力のちからをぶつけて相殺する、これぞUD理論に曰く、『同撃相殺』である。」 |
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アルラウネ 「よ・・・寄らないでください・・・・・」 |
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アルラウネ 「やっぱり怖い人だー!!!!」 |
| 0 0 0 0 0 0 |
0 1 0 0 0 5 |
0 1 0 1 0 4 |
火 水 風 地 光 闇 |
0 0 0 0 0 2 |
0 0 0 0 0 0 |
0 0 0 0 0 0 |
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「…ふふ」 少女はお辞儀をする。 …甘い香りは、さらに深く漂っている。 |
| ―― さんぜん せかいの からすを ころし |
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怪異は消失した。 |
| ――――…………ん |
| 瑠璃子 「……終わり…ましたか?」 |
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レックス 「何とかなったか。 皆、怪我を診よう。 此方へ。」 |
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堂島 「がはは!この世界の秘密を解き明かし、プレイヤーからマスターに成り上がるためには、こんなところで負けておられんのじゃい!がはは!」 |
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分身の少女はくすくすと笑った後、ぱりんと割れる。 そこにはもう何も残っていなかった。 |
